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出光興産、核融合発電の商業化を目指す米スタートアップ「Thea Energy」へ出資
独自の平面電磁コイル技術を用いたステラレーター装置開発を支援、次世代エネルギー製造や既存事業への熱活用も視野
2026/06/17
出光興産(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:酒井則明)は、出光CVC(*1)を通じて、独自のステラレーター装置(*2)によりフュージョン(核融合)発電の商業化に取り組む米国のスタートアップ企業、Thea Energy Inc(CEO:Brian Berzin)への出資を行った。今回の出資は、持続可能なエネルギー供給を支える革新的な技術として期待されるフュージョン発電の技術動向や事業化の知見を、早期から蓄積することを目的としている。
*1出光CVC:カーボンニュートラル・循環型社会の実現に貢献するため、「低炭素エネルギー」や「先進マテリアル」分野の「革新的な新技術」に戦略的な投資を行う組織。
*2ステラレーター装置:複雑にねじれた磁場コイルだけでプラズマを閉じ込め、フュージョンを実現する装置。
フュージョン発電の概要と国内外の動向
フュージョンとは、太陽内部で起きている反応と同様に、軽い原子核(水素の一種である重水素と三重水素)同士が融合する際に生じる莫大なエネルギーを発電に利用する技術。フュージョンによる発電は、CO2をほとんど排出せず、現在の原子力発電(核分裂)とは異なり連鎖反応が起きないため、電源を停止すると反応が速やかに止まるという特長を持つ。
さらに、長期的な管理が必要な高レベル放射性廃棄物が発生しにくいとされている。このため、持続可能なエネルギーとして注目されており、将来的にはエネルギー安定供給の選択肢の一つとして社会実装が期待されている。近年、技術革新により実用化の時期が想定より早まるとの見方が広がり、世界各国で研究開発や投資が加速している。日本政府も「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」のもと、2030年代に世界に先駆けて官民連携で発電実証を行うことを目指している。
Thea Energyの独自技術と開発計画
Thea Energyは、1951年にステラレーター装置を発明したプリンストン大学・プラズマ物理学研究所発のスタートアップ。ステラレーター装置は運転が安定しやすく、フュージョン発電の連続運転に適した方式であるものの、装置設計とコイル形状が非常に複雑で実用化が困難とされてきた。これに対し、Thea Energyは取り扱いやすい平面電磁コイルを用いた独自のステラレーター装置を開発しており、設計・保守に関する負担や設備コストを大幅に低減している。
また、平面電磁コイルを独自技術で組み合わせ、デジタルツイン技術による制御を用いることで、ステラレーター型磁場を安定的に形成・維持し、本格的な実用化を目指している。同社は、2027年以降に実証機、2030年以降に商業機の建設および稼働を計画している。出光興産はこうした開発状況を継続的に確認し、技術動向や事業化の知見を蓄積する方針だ。
出光興産におけるフュージョンエネルギーの活用展望
フュージョンの実用化により、環境負荷を抑えた電力と熱の大量かつ安定的な供給が期待される。フュージョンから得られる電力や熱は、出光興産が次世代エネルギーとして社会実装を目指す合成燃料、アンモニア、水素の製造に活用できる可能性がある。さらに、フュージョンで生み出される熱は産業プロセスへの有効活用も期待されており、同社は既存事業のエネルギー源としての活用も視野に入れている。
これらを含むフュージョンのさまざまな活用可能性について、同社はThea Energyと共に検討を進める計画である。
【参考】Thea Energyの概要および関連情報
Thea Energyは、独自の平面コイル型ステラレーター設計を通じて、拡張可能で経済的な核融合エネルギーシステムの商業化を進めている。大量生産が可能な磁石のアレイと高度なソフトウェア制御を活用することでステラレーターを革新し、豊富で安全なゼロエミッションエネルギー源を提供する独自のソリューションとなることを目指している。
Thea Energy Webサイト:https://thea.energy/