JOURNAL 

シネマエンドレス「トゥギャザー」

  • #一般向け

2026/03/09

身体変異と共依存......愛のカタチが問われるボディ・ホラー

 長年連れ添ってきたミュージシャン志望のティムと小学校教師のミリーは、住み慣れた都会を離れ、田舎の一軒家に移り住む。ところが森で道に迷い、不気味な地下洞窟で一夜を過ごした直後から、ふたりの穏やかな日常が暗転する。ティムは突然意識が混濁し、身体が勝手に暴走する奇妙な症状に悩まされ、気持ちがすれ違いがちだったミリーとの関係が危うく揺らぎ出す。やがて、その異変はミリーの身にも勃発。目に見えない磁力に引き寄せられるかのように互いを求め合うその想像を絶する現象は、ふたりが一緒に育んできた愛と人生すべてを侵蝕していく。はたしてティムとミリーは壊れかけた愛を取り戻し、幸せをたぐり寄せることができるのか。

 ボディ・ホラーとラブ・ストーリーという対極のジャンルを融合させ、斬新な視覚効果と特殊メイクによるこれまでにない映像体験は、世界各国で話題を呼び、全米でもスマッシュヒットした作品がいよいよ公開。


© 2025 Project Foxtrot, LLC

サブカルおじさんの推しどころ

 依存し合うことの不安と不満による倦怠期真っ只中のカップルを襲うトラブル。「心が離れているのに、身体はくっついていく」という「物理的に別れられない」という極限状態、そして人体が粘度を持って融合するグロテスクさ......ホラー要素満載なのに、意図的に誇張しすぎた演出を取り入れることでコメディ要素が生まれ、笑ってしまうという観客の想像力と感情の起伏のコントロールが巧みな1本。身体変異と共依存......本当の愛とは、お互いのためにできることとは。パートナーがいる人には怖くて笑える愛の共感物語。生産性皆無で22時まで会社に居続ける独身中年多数の東京編集課のような人間たちにはある意味怖くて残酷な哀の叫喚物語である。アパレルコラボでは2つのTシャツを融合させて2人で1着という作品同様に狂気のセンスが遺憾なく発揮されており、こちらも一見の価値あり。


監督・脚本:マイケル・シャンクス/配給:キノフィルムズ/全国公開中

担当記者

青山 竜(あおやま りゅう)

東京編集課所属。映画・音楽・芸術あらゆる文化に中途半端に手を出し、ついたあだ名は「サブカルくそおじさん」。

その他紹介作品はこちらから