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自動車整備士の年収は低い?平均給与と年収を上げる5つの方法を徹底解説!
自動車整備士の平均年収は約426万円です。この記事では、ディーラーと民間工場の給料の違いや、年齢別の年収推移を詳しく解説します。さらに、資格取得や転職によって年収を上げるための具体的な方法も紹介するので、将来のキャリアに役立ててください。
2025/10/06

「自動車整備士はやりがいがあるけれど、給料が低いのでは?」と感じている方や、これから目指す上で収入面が気になっている方も多いのではないでしょうか。自動車の安全を守る専門職として、その対価である年収について正しく知ることは、将来のキャリアプランを考える上で非常に重要です。この記事では、最新のデータに基づき、自動車整備士のリアルな年収事情から、収入をアップさせるための具体的な方法まで、詳しく解説していきます。
自動車整備士のリアルな平均年収
自動車整備士の年収は、一体どのくらいなのでしょうか。まずは全体の平均額や年齢による推移、そして他の職種との比較から、現状を客観的に見ていきましょう。
全体の平均年収・月収・手取り額
日本自動車整備振興会連合会が発表した「令和5年度 自動車特定整備業実態調査」によると、自動車整備士全体の平均年収は約417万円です。 これは過去の調査と比較して上昇傾向にあり、業界全体での待遇改善が進んでいることを示しています。
平均年収を基に月収や手取り額を計算すると、以下のようになります。
項目 | 金額(目安) |
平均年収 | 約417万円 |
平均月収(ボーナス除く) | 約28万円 |
手取り月収(推計) | 約22万円~24万円 |
手取り額は、社会保険料や税金が引かれるため、総支給額の約8割が目安です。もちろん、これは全国平均の数値であり、勤務先の地域や企業、個人のスキルによって金額は変動します。
【年齢別】年収はどのように推移するのか
自動車整備士の年収は、経験やスキルの向上に伴い、年齢と共に上昇していくのが一般的です。若手の頃は経験を積む期間と位置づけられ、30代から40代にかけて技術力や役職が評価され、年収も上がっていきます。
年代 | 平均年収(目安) |
20代 | 約350万円 |
30代 | 約400万~450万円 |
40代 | 約450万~500万円 |
50代 | 約510万円 |
特に40代以降は、工場長などの管理職に就く機会が増えるため、役職手当が加わり年収が高くなる傾向があります。経験を重ねることで着実に収入を増やせる点は、自動車整備士という仕事の魅力の一つです。
他の職種と比べて年収は低いのか
「自動車整備士の年収は低い」というイメージは本当でしょうか。国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、日本の給与所得者全体の平均年収は458万円です。この数値と比較すると、自動車整備士の平均年収417万円はやや低い水準にあると言えます。
しかし、これはあくまで全体の平均値との比較です。後述するように、勤務先やキャリアプラン次第で、全体の平均を大きく上回る収入を得ることも十分に可能です。
働く場所でこんなに違う!自動車整備士の年収比較

自動車整備士の年収を大きく左右する要因の一つが「どこで働くか」です。特に、自動車メーカー系列のディーラーと、独立系の民間整備工場では、年収に大きな差が見られます。
ディーラー勤務の平均年収
ディーラーで働く自動車整備士の平均年収は、約480万~500万円と、業界内では高い水準にあります。 これは、給与所得者全体の平均年収を上回る金額です。
ディーラーの年収が高い理由としては、新車販売などの利益率が高い事業で得た利益を従業員に還元できること、充実した福利厚生や手当、明確な評価制度などが挙げられます。また、メーカー独自の資格制度があり、取得することでさらなる収入アップが見込めます。
民間整備工場の平均年収
一方、民間整備工場で働く自動車整備士の平均年収は、約370万円です。ディーラーと比較すると100万円以上の差があるのが現状です。
これは、民間工場が主に整備業務の利益で経営を成り立たせていることや、ディーラーに比べて規模が小さいことが多く、福利厚生や手当の面で差が出やすいためです。しかし、民間工場には、多様なメーカーや車種に触れられるため技術の幅が広がる、地域に密着して顧客と長い関係を築ける、比較的ワークライフバランスが取りやすいといったメリットもあります。
企業規模による年収の違い
当然ながら、企業の規模も年収に影響します。従業員数が1,000人を超えるような大手企業やディーラーでは平均年収が500万円に近いケースも珍しくありません。
一方で、従業員数が100人以下の小規模な工場では、年収が300万円台になることもあります。転職を考える際は、企業の規模や経営状況を確認することも重要なポイントです。
なぜ?自動車整備士の年収が低いと言われる理由

自動車整備士は国家資格を必要とする専門職でありながら、なぜ年収が低いと言われるのでしょうか。その背景には、業界が抱える構造的な理由が存在します。
利益率の構造的な問題
自動車整備の売上は、「部品代」と「工賃(技術料)」で構成されています。このうち、部品代は仕入れコストがかかるため利益は限定的です。主な利益源は工賃ですが、過当競争や価格の透明化により、工賃を高く設定しにくいのが実情です。
特に、ディーラーのように車両販売で大きな利益を上げられる事業構造を持たない民間工場では、整備業務の利益が直接給与に反映されるため、年収が上がりにくい構造になっています。
項目 | 説明 | 利益への影響 |
部品代 | 仕入れコストが発生するため、利益率は低い。 | 低 |
工賃(技術料) | 主な利益源だが、価格競争により上げにくい。 | 中 |
車両販売(ディーラー) | 利益率が高く、整備部門の給与にも還元されやすい。 | 高 |
設備投資にかかるコスト
自動車整備を行うためには、リフトやスキャンツール(診断機)、特殊工具など、専門的な設備が不可欠です。近年は、電気自動車(EV)や先進安全技術に対応するための新しい設備投資も必要となっており、これらのコストが経営を圧迫する一因となっています。
設備の購入や維持にかかる費用が大きいため、その分、人件費に回せる予算が限られてしまい、結果として従業員の給与水準を上げにくいという側面があります。
自動車整備士が年収を上げるための具体的な5つの方法

では、自動車整備士として年収を上げていくためには、どのようなアクションを取れば良いのでしょうか。ここでは、具体的な5つの方法を紹介します。
1. 資格を取得して資格手当を得る
最も確実な年収アップの方法は、上位資格を取得することです。多くの企業では資格手当制度が設けられており、「1級自動車整備士」や「自動車検査員」の資格を取得することで、月数万円の手当が支給される場合があります。
資格名 | 資格手当(月額目安) | 役割・メリット |
3級自動車整備士 | 5,000円前後 | 基本的な整備作業が可能 |
2級自動車整備士 | 1万円前後 | ほとんどの分解整備が可能、整備主任者になれる |
1級自動車整備士 | 1万円前後 | 最高峰の資格、指導的な役割を担える |
自動車検査員 | 2万円前後 | 車検の最終判断が可能、工場に必須の存在 |
資格は自身のスキルを証明するだけでなく、転職市場での価値を高める上でも非常に有効です。
2. サービスフロントや工場長など役職に就く
現場の整備士として経験を積んだ後は、キャリアアップを目指すことも年収を上げる重要な手段です。顧客対応や見積もり作成を行う「サービスフロント(サービスアドバイザー)」や、現場全体を管理する「工場長」などの役職に就くことで、役職手当が支給され、年収は大きく向上します。これらの役職では、整備技術だけでなく、コミュニケーション能力やマネジメント能力も求められます。
3. 給与水準の高いディーラーへ転職する
現在の職場の給与水準に限界を感じている場合、より待遇の良い企業へ転職するのも有効な選択肢です。前述の通り、一般的に民間整備工場よりもディーラーの方が給与水準は高い傾向にあります。特に、輸入車ディーラーは成果主義を取り入れていることが多く、実力次第で高収入を狙える可能性があります。自身の経験やスキルを棚卸しし、市場価値を正しく評価してくれる職場を探すことが重要です。
4. EVなど最新技術のスキルを習得する
自動車業界は今、電気自動車(EV)やハイブリッド車、自動運転技術など、100年に一度の大変革期にあります。これからの時代は、こうした最新技術に対応できる整備士の需要がますます高まっていきます。専門的な講習に参加するなどして、新しい技術や知識を積極的に学ぶことで、他の整備士との差別化を図り、希少価値の高い人材として評価されるでしょう。これが結果的に年収アップに繋がります。
5. 独立開業して経営者になる
豊富な経験と人脈、そして経営の知識があれば、自身の整備工場を立ち上げて独立開業するという道もあります。経営者となれば、会社員時代のように収入の上限はありません。成功すれば年収1,000万円以上を目指すことも夢ではありませんが、一方で経営リスクをすべて自分で負う覚悟も必要です。これは、自動車整備士としてのキャリアの一つの到達点と言えるでしょう。
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自動車整備士の将来性と今後の年収展望
自動車整備士の仕事は、今後どうなっていくのでしょうか。業界の動向から、将来性と年収の展望について考察します。
深刻な人手不足による需要の高まり
自動車整備士業界は、若者の車離れや仕事の厳しさから、慢性的な人手不足に陥っています。一方で、自動車の保有台数は依然として高水準で推移しており、整備の需要がなくなることはありません。
この需要と供給のギャップを埋めるため、各企業は人材確保と定着に向けて、給与や休日、福利厚生といった待遇の改善に力を入れています。この傾向は今後も続くと考えられ、整備士の労働環境や給与水準はさらに向上していく可能性が高いです。
業界の動向 | 整備士への影響 |
慢性的な人手不足 | 需要が高まり、売り手市場になる |
企業の待遇改善 | 給与水準や福利厚生の向上が期待できる |
自動車の高機能化 | 高度なスキルを持つ人材の価値が上がる |
技術の進化に対応できる人材の価値
前述の通り、自動車技術は日々進化しています。これからの自動車整備は、従来の機械的な知識や技術だけでなく、電子制御システムやソフトウェアに関する知識が不可欠になります。
このような高度で複雑な技術に対応できる専門知識を持った整備士は、今後さらに重宝されるようになります。変化に対応し、学び続ける意欲のある人材にとっては、自身の市場価値を高め、それに伴い年収を大きく引き上げるチャンスが広がっていると言えるでしょう。
まとめ
本記事では、自動車整備士の平均年収や、勤務先による違い、収入を上げるための具体的な方法について解説しました。自動車整備士の平均年収は他業種と比較するとやや低い水準にありますが、ディーラーへの転職や上位資格の取得、キャリアアップなど、個人の努力と選択次第で平均を大きく上回る収入を得ることが可能です。
業界は人手不足と技術革新という追い風を受けており、専門スキルを持つ人材の価値はますます高まっています。この記事で得た情報を参考に、ご自身のキャリアプランを見つめ直し、納得のいく年収と働き方を実現するための一歩を踏み出してください。