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JARWAが整備士バンク構想をスタート

~深刻化する整備士不足と構造的な社会課題に対し、技術者価値の見える化と金銭面支援で解決へ~

  • #ニュース

2026/04/23

 日本自動車車体補修協会(JARWA)(吉野一代表理事)は、自動車業界における長年の深刻な課題である車体整備士などの技術者数の減少に対し、整備士の技能や資格、経験などを含めた実績を可視化する人的インフラ構想「整備士バンクR※(以下、整備士バンク)」を推進していくことを4月23日に発表した。

※整備士バンクRはJARWAの登録商標です

なぜ今、自動車業界に「整備士バンク」が必要なのか?

 現場で働く整備士が足りないという状況がいまだに続いている。これは単なる現場の人手不足という側面だけではなく、カーオーナーの安全や各地域の移動手段の維持、物流機能の下支えにも関わる社会的な課題も示している。耳にタコができるほど聞き飽きた対策以外に、業界全体の構造的な変化を伴う対応が求められているだろう。

 近年のトピックスである“作業の透明化"を例にすると、工場だけでなくアフターマーケット全体にこれを浸透させるためには、整備記録や工程管理だけでなく、それを担う整備士の技能や経験が適切に可視化され、正当に評価される仕組みが不可欠である。漠然と正しそうな言葉を使うだけでは、構造的な変化は起こりえない。

 では具体的にはどうしたらよいのか。その答えの一つとしてJARWAが掲げるのが整備士バンクである。

次世代の人的基盤「整備士バンク」の具体的な解決策と仕組み

 「Mobility Transparency――整備の透明化・制度化による信頼社会の再構築」というJARWAの基本思想があるが、整備士バンクは、この思想を人的基盤の側面から具体化する取り組みである。

 整備士バンクは求人サイトではない。整備士の技能、資格、経験、実績を蓄積し、AIを活用して分類・可視化し、案件マッチング、育成、評価、キャリア形成、独立支援へとつなげていく次世代の人的基盤である。所属先が変わっても経験値が個人に蓄積され続ける設計や、出張整備・訪問整備を含む様々な案件へ取り組みやすくなることで、整備士が組織の中だけで評価されるのではなく、市場全体の中で正当に評価されうる環境作りにつながる。

解決策①「スキルパスポート」とAIによる人材価値の可視化

 JARWAはこの課題に対する第1の解決策として、整備士のスキルを見える化することによる人材市場の流動性確保を重視している。整備士バンクでは、保有資格、受講講習、実務経験、得意分野、現場実績などを「スキルパスポート」として蓄積し、整備士一人ひとりの能力を見える形でキャリア資産とする。一元的に蓄積し、AIを活用したスキルの分類やスコアとして数字化することで整備案件とのマッチング支援にも活かす予定である。

解決策②:ギグワークや金融支援による金銭的課題の解消

 第2の解決策は、整備士が抱える金銭面での課題解決である。整備士が生活費や資格取得費、工具購入費などの負担によって学びや就業継続を断念しないようにする。ギグワーク(企業に属さず単発で仕事を請け負う働き方)型の案件については市場の既存プレーヤーとの連携を推進し、金融支援については国内の銀行系金融グループとの連携を展開していく。資金サポート機能とし、整備士が技術と経験を活かして働き続けられる環境を醸成する。

JARWA台湾事務所を起点とし東南アジアへ展開

 またJARWAは、この仕組みを国内だけにとどめず、2026年1月に設置したJARWA台湾事務所をハブとして東南アジア全域へ広げていく構想を進めている。日本国内の整備人材不足への対応に加え、台湾を起点に東南アジアとの接続を強化することで、今後の特定技能制度や育成就労制度にも役立つ人的基盤として拡充していく方針である。整備士の技能や経験を共通の考え方で可視化し、国境を越えて把握・評価しやすくすることで、相互的な人材育成や受け入れ、配置体制を整備していく。

吉野一代表理事(左)とJARWA台湾事務所の事務局長である涂集勝氏

本件に関するお問い合わせ先

日本自動車車体補修協会(JARWA)

TEL:03-5829-4811

E-mail:info@jarwa.or.jp