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特定化学物質に「溶接ヒューム」が指定される

2021年4月から、特化則に基づく措置を義務付け

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2020/11/15

 今年4月に公布された労働安全衛生法施行令の一部改正により、アーク溶接作業時に発生する「溶接ヒューム」が、特定化学物質障害予防規則(特化則)における特定化学物質(管理第2類物質)に指定された(表1)。これによりアーク溶接作業をする車体整備工場においては、特化則に定められた健康障害防止措置への対応が義務付けられることになる。これら改正政省令・告示は、原則2021年4月1日から施行・適用される。

表1 新たに特化則の特定化学物質に定められた物質

 溶接ヒュームに対する特化則では、屋外作業場・屋内作業場のどちらで溶接作業をするかによって求められる措置が異なる(表2)。屋内作業場とは、「作業場の建屋の側面の半分以上にわたって壁、羽目板その他の遮蔽物が設けられている場所」などに該当する作業場のことを指しており、多くの車体整備は屋内作業場に対して定められた措置(表3)を遵守する必要がある。

表2 作業場等による区分

表3 金属アーク溶接等作業を継続して屋内作業場で行う事業者に求められる措置

 同改正では一部経過措置が設けられており、特化則に基づいた呼吸用保護具の選択・使用、特定化学物質作業主任者の選任については、2022年4月1日より求められることになる(表4)。しかし、4月1日から呼吸用保護具を選択・使用するためには、それ以前に特化則で定められた溶接ヒュームの濃度の測定などをしておく必要がある。
 改正内容及び事業者に求められる措置などの詳細は、厚生労働省Webサイトに掲載されている。また本件に関する問い合わせは、都道府県労働局または労働基準監督署にて受け付けている。

表4 溶接ヒュームに対する特化則の施行日・経過措置について