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    国交省・機構、第1回「OBD検査モニタリング会合」を開催(前編)

    車体修理工場に対しバンパー脱着後の通信途絶系DTC有無とセンサー結線確認を注意喚起

    • #ニュース

    2024/12/03

     国土交通省および自動車技術総合機構(機構)は2024年12月2日、2023年10月から2024年9月までのOBD検査プレ運用期間中に開催された「OBD検査準備会合」の後継となる「OBD検査モニタリング会合」を新設。第1回会合をAP東京八重洲(東京都中央区)で開催した。

     事務局は国交省物流・自動車局自動車整備課と機構OBD情報・技術センター、構成員は日本自動車工業会(自工会)、日本自動車輸入組合(JAIA)、日本自動車機械器具工業会(自機工)、日本自動車機械工具協会(機工協)、日本自動車整備振興会連合会(日整連)、日本自動車車体整備協同組合連合会(日車協連)、日本自動車連盟(JAF)、軽自動車検査協会(軽検協)、交通安全環境研究所。

     国交省物流・自動車局自動車整備課の村井章展(むらいあきのぶ)整備事業指導官は冒頭の挨拶で、「OBD検査開始がこの10月からとても静かに穏やかに開始することができてホッとしている」と、特にのべ6千回超の説明会を開催した自動車整備振興会に対して謝意。

    「1年間のプレ運用を経てOBD検査は開始されたが、整備事業者の習熟度は非常に高い。だがまだまだ細かい課題も報告されている。このモニタリング会合を通じて一つひとつ改善を重ねていきたい」と、同会合設置の狙いを端的に説明した。

     また、「運転支援・自動運転技術は今後普及して高度化が進むことはあっても戻ることは絶対にない。この検査の練度をしっかり上げて、そういった技術が本当に普及した際に、このOBD検査が円滑に回るよう、引き続き改善を重ねたい」と意気込みを述べている。

    第1回OBD検査モニタリング会合の様子

     まず、同会合で用いる用語の定義とデータ収集の対象について、下図の通り説明。「『不適合あり』の台数と車検不合格の台数は全く異なる性質のもので、『不適合あり』の方が数字が大きく出る」、「機構および軽検協より取得したデータに『不適合要因』が含まれないのは、両者のシステムに『不適合要因』を集計する機能が現状では備わっておらず、分析できていないため」(村井指導官)と補足した。

    「OBD検査モニタリング会合」で用いる用語の定義と各データ収集対象の概要

     その後、2024年10月1日より開始されたOBD検査の運用状況を報告。同年10月末時点のOBD検査対象型式は892、対象台数は登録車229万4985台、軽自動車99万6620台の計329万1605台。

     同年10月1日より11月24日までのOBD検査実績は、指定自動車整備工場(指定工場)が1万9690台で、「不適合あり」率は4.8%。機構は同742台・13.5%で、軽検協は同4772台・4.0%、全体で同2万50204台・4.9%となった。

     OBD検査開始時点では対象型式に軽自動車が多かったため、検査台数も軽自動車が多い結果となった。また軽検協より機構の方が不適合率が高い傾向について、一般的に登録自動車の方が高機能な安全装置が搭載されていること、整備工場では点検整備後にOBD検査を行うのに対し検査コースでは点検整備を行わずに受検(前検査。ユーザー車検)する者が含まれること、機構の検査台数がまだ少ないため統計の精度が低いこと、などを要因に挙げている。

    OBD検査の対象型式・台数と検査実績

     指定工場の検査結果より集計された「不適合要因」(詳細は下表)「排出ガス系」のうち「電圧不足」(41件)、「レディネスコードなし」(550件)、「通信不成立」(309件)については、「クルマが故障していたというよりも、OBD検査の準備や方法に不備があった可能性があり、その後試行錯誤して全部合格になったと思われる。全体の「不適合あり」率4.9%という数字にはこういった検査実施上の不慣れなも含まれていたのではないか」(村井指導官)と推察している。

     一方、安全系の不適合(310件)については、「これは特定DTC、保安基準への適合有無だけで判定しているため、この310件は保安基準不適合に該当する故障コードが出たものと理解している」と分析。

     また、「カメラ、ミリ波レーダー、コントロールユニットなど、衝突被害軽減ブレーキの故障に使うような装置の故障のほか、センサーの通信途絶などが検出されている。まさにこういう目で見ても分からない故障を車検でちゃんと見るという、そういったOBD検査の意義は認められる」と評価した。

     そのうえで、「通信途絶のDTCは結構出ており、これはセンサー類を内蔵するバンパーなどを取り外して行う修理後の結線忘れなどが原因である可能性もある。車体整備事業者においてはバンパーを外す機会が多いと思われるので、その際にこの通信途絶系のDTCがちゃんと消えているか、ちゃんと接続されているかということも、今後確認いただく必要がある」と注意を促している。

    指定工場における主な不適合要因

     そして、2024年10月1日より11月24日までに実施したモニタリングの評価を「短期間の分析なので、これをもって全体を論じるのは難しい」としながらも、「重大な問題は発生せず、コールセンターにも重大な連絡はなかった」と総論。

     さらに「週間別の不適合率を見ると右肩下がりで減っているので、受検者や整備工場の皆様方がOBD検査の実施やその前の準備段階でさらに習熟が進んでいると考えられる。不適合率は今後さらに低下していく可能性もある」と、期待を込めながら分析している。

    (続く)


    (文・写真=遠藤正賢 図=国土交通省)

    指定工場・機構・軽検協におけるOBD検査台数の1週間ごとの推移

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