JOURNAL 

    シネマエンドレス 「逆転のトライアングル」

    カンヌ映画祭パルムドール受賞のブラックユーモア問題作!

    • #その他

    2023/03/15

    あらすじ


     モデルでインフルエンサーのヤヤは、恋人である男性モデルのカールとともに各国の様々なセレブが集う豪華客船のクルーズ旅行に招待される。

    リッチだがクセモノ揃いの乗客はゴージャスな船旅を堪能し、客室乗務員は彼らから高額のチップをもらおうと笑顔を振りまきながら要望に応える。

    しかし、ある夜に船が海賊に襲われ、難破。無人島に流れ着いた乗員乗客たちが食料、水、そしてSNSもない状況に混乱する中、トイレ清掃員が圧倒的なサバイバル能力を発揮し、ヒエラルキーが逆転し始める……。


     2022年のカンヌ国際映画祭で公開され、8分間に渡るスタンディング・オベーションを受け、最高賞であるパルムドールを受賞した痛烈な社会風刺ブラックコメディー。

    監督は2017年に「ザ・スクエア 思いやりの聖域」でもパルムドールを受賞したスウェーデン人監督のリューベン・オストルンド。

    キュートな笑顔がはじけるヒロイン役のチャールビ・ディーンは本作が遺作となった。

    Fredrik Wenzel © Plattform Produktion

    筆者の推しどころ

     金ですべてを解決してきたセレブがその力が及ばない環境に陥りトイレ清掃員に頼りっきりとなり立場が逆転するという内容だが、そこには資本主義やルッキズム(外見重視主義)、差別の問題提起が常にされており、ある意味でブラックユーモア集大成と言える作品。

    観る人の立場と環境によって大きく感想が異なるだろう。

    大荒れの船内で、超高級ディナーに向かって船酔いしたセレブがゲロを吐き、それを見たセレブがもらいゲロという阿鼻叫喚の連鎖の中で、一切酔わない乗船員が粛々と片付ける対比は強烈。

    くれぐれも酔った状態で観ないことを強く勧める。また、観客の想像に委ねる余白のあるラストも秀逸。そして、惜しくも本作が遺作となったチャールビ・ディーンがめちゃくちゃカワイイ……。

     あるセレブの台詞で「人は死ぬ前に何を後悔すると思う? 10人中7人の後悔は働きすぎたこと。○○な仕事に人生の多くを捧げてしまったことよ」とある。

    「俺、そうなりそうだわ……」と思わず口にしたが、この○○が何かはぜひ劇場で確認してほしい。



    この写真のおばちゃんセレブがゲロを吐くことで始まる地獄の連鎖による笑いは海外ならではのセンスだなぁと感じさせる。

    Fredrik Wenzel © Plattform Produktion

    逆転のトライアングル
    監督:リューベン・オストルンド
    ギャガ配給

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