JOURNAL 

    <小説>鼓動 もう一つのスクープ(第12話)

    • #一般向け

    2021/09/10

    BSRweb小説企画第一弾

    業界記者の視点で描く、自動車業界を題材にしたオリジナル小説。
    第1話へのリンク

    ※この小説はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

    第12話 深い闇の一端を覗く

     週刊トップがこの秋発行予定の別冊・日本モーターショー全ガイド(以下、GB)をアウトソーシングで編集・制作するスタッフに北沢が選ばれた。モーターショー全体の監督責任を負っている広通の下請け会社エム企画との打ち合わせが欠かせない。GBの編集制作は週刊トップ側が担当するが、GBを販売する店舗・書籍コーナーの運営や販売スタッフの手配をエム企画が受け持っているためだ。
     エム企画の請求書をもとに項目ごとに清算確認していると、週刊トップ独自の項目ごとの概算経費と大きな開きが出た。この数字の開きを指摘した北沢に対してエム企画の山下一郎社長が激怒。
    「私の請求書が間違っているというのか。私の面子を潰すのか。広通に仕事を回してくれた謝礼として支払う一千万円や週刊トップとのゴルフ接待費用も含まれているんですよ」
     業界のイベント費用に接待費用を含んでいるのは暗黙の了解事項だと言わんばかりの口ぶりだ。業界の深い闇の部分を思い知った北沢だった。





    <筆者紹介>
    中野駒
    法政大学卒 自動車業界紙記者を経て、自動車流通専門のフリー記者兼アナリスト。業界歴併せて40年。

    第13話を読む

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