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大阪・関西万博2025、閉会
2025/10/20
万博概要
大阪・関西万博2025は4月13日~10月13日までの184日間、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、大阪の夢洲で開催された。万国博覧会の大阪での開催は55年ぶり。160以上の海外パビリオンと7つの国内パビリオンが出展しており、多くの来場者で会場内はにぎわいを見せた。
ヘルスケアパビリオン
大阪ヘルスケアパビリオンでは「REBORN」をテーマに掲げ、未来のヘルスケアや都市生活の体験と紹介、iPS細胞を主題とした再生医療の可能性に関する展示が行われた。25年後の自分を体験できる「リボーン体験ルート」や360°シアターで楽しめる「XD HALLモンスターハンターブリッジ」など、予約必須のアトラクションもある人気パビリオンとなった。
リボーンチャレンジ
そんなヘルスケアパビリオン内のKuruKuruゾーンで、エアバッグを再利用して製作したスーツを展示していた吉村解体(大阪府羽曳野市)。廃車・不要車の引き取りや買い取り、リサイクル部品の販売を行っており、引き取り車両の100%リサイクルを目指して解体している。
製作に携わった田中満夕子氏は同社で経理を担当しており、2022年末のニュースで本企画を知った。通常は再利用されず、捨てられるエアバッグのリサイクル方法を探っていた田中氏は、「万博という注目の集まる舞台で展示ができるなど、またとないチャンスだ」と思い応募を決意した。初めてのプレゼンテーションにもかかわらず勝ち進み、最終的に約100あった応募のうち、京都紋付(京都府京都市)、三恵メリヤス(大阪府大阪市)と、主催側の大阪服装文化学院(大阪府大阪市)との協同で一つの展示作品を作り上げることとなった。
「1枚から97億人へ」をコンセプトに、日本の伝統文化である折り紙を土台として製作を進めた本作品。日ごろから素材にこだわった製作をしている、大阪服装文化学院の河村小太郎氏は、「丈感やプリーツの細かさなどにもこだわり、素材のハリ感と体の線に沿うことの両立を目指した」と述べた。また、万博という、社会問題が提起されている場所に展示する上で、多様性についても考えながら作品に向き合ったという。「人が在ることで、服が在ると考えている。だからこそ今回は個性を表現することにこだわった」。
また、吉村解体の田中氏は「車部品のリサイクルを通じて、素材やパーツの国内流通サイクルを作っていきたい。その活動によって、中小企業の活路も見いだせればと思う。また、一般の人にも今回のようなリサイクル方法があるということを知ってもらい、解体を依頼する企業選びの際の参考にしてもらいたい。今回の企画や製作はあくまで部品リサイクルの一例。今後も他の可能性を探っていく。手を挙げればチャンスはあるということを自分の体験を通じて感じてもらえたらうれしい」と語った。
会期終盤の平日ながらも混み合う万博会場
大人気のイタリア館
閉幕も近くなると、イタリア館などの人気パビリオンは平日にもかかわらず5時間待ちの行列になる。そんなイタリアのパビリオンは「アートは人生を再生する」をテーマに、様々な芸術作品が展示された。
カラヴァッジョの代表作「キリストの埋葬」、紀元前2世紀に作られたファルネーゼ「アトラス像」、日本初公開となるペルジーノ「正義の旗」、ミケランジェロ・ブオナローティ「復活したキリスト」、そしてレオナルド・ダ・ヴィンチ「アトランティック手稿」などどれも国宝として扱われても不思議はないものが数多く展示された。特に「アトランティック手稿」に関しては、紙質の問題からフラッシュなどのスチール撮影が禁じられ、動画のみ撮影が許されるほどのものである。
また、芸術面だけでなく2026年にミラノで開催される冬季オリンピックの聖火や、宇宙機関の活動なども紹介されたほか、フェラーリ296GTSやフェラーリが発明したTASC技術を採用したアクティブサスペンションシステムなど、近年での活動なども幅広く紹介され、人生の再生を完全に諦めていた筆者の背中を押されるほどイタリアの魅力が存分に伝わるものだった。
(青山竜)
ファルネーゼ「アトラス像」