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神戸製鋼所とマツダ、溶接学会「田中亀久人賞」を受賞 電着塗装性向上の溶接技術を共同開発
足回り部品の耐食性を従来比3倍以上に向上、累計350万台超の車両へ適用
2026/04/30
神戸製鋼所とマツダが共同開発した「電着塗装性向上溶接技術」が、2025年度溶接学会「田中亀久人賞」を受賞した。本技術は自動車の軽量化を目的に、溶接部の耐食性を従来の3倍以上に高めたものである。マツダが同賞を受賞するのは今回が初めてとなる。
田中亀久人賞は、日本のものづくりを支える溶接技術の発展に大きく貢献した実用技術を対象に、溶接学会より授与される専門技術賞だ。
高強度薄鋼板の腐食課題を解決
本技術は、自動車部品の溶接後工程である電着塗装に悪影響を及ぼす溶接スラグを制御するために開発された。溶接スラグとは、溶融金属中の元素と酸素などが反応・結合して溶接部に生じる非金属物質を指す。
特に安全性や耐久性が求められる自動車の足回り部品において、軽量化に不可欠な高強度薄鋼板は、溶接部付近の錆により板厚が減少する課題があった。厳しい腐食環境下では、電着塗装不良を起点とした腐食が部品寿命を悪化させる要因となっていた。
スラグの発生抑制と凝集により耐食性を向上
神戸製鋼所とマツダは、足回り部品のアーク溶接プロセスに着目し、溶接時に発生するスラグ量そのものを抑制するとともに、生成されたスラグを凝集させることで塗装不良を低減する新たな技術を確立した。
具体的には、シールドガス組成、溶接ワイヤ組成、溶接電源の波形制御を最適化した。さらに、シールドガスノズル径がスラグ生成挙動に大きく影響することを解明し、最適な管理条件を定義することで、溶接ビード上のスラグ被覆面積を極小化した。
これにより、耐食性評価試験では従来技術比で3倍以上の向上効果を確認した。実際の自動車部品を用いた評価においても、従来は著しい錆が発生していた条件下で、ほぼ錆の発生が認められない効果が実証されている。
累計350万台超の車両に採用
技術開発において、神戸製鋼所は溶接材料および溶接プロセス技術の開発を担当し、マツダは部品そのもの、及び部品メーカーにおける量産化の検証・評価を担った。両社の技術的知見を結集した実用化までの一貫した取り組みと、多くの車種に採用された実績、生産技術の発展への貢献が評価され、今回の共同受賞に至った。
本技術は、2019年発売の「MAZDA3」以降、これまでに9車種、累計350万台を超える車両に適用されている。直近では、日本で今春中に発売を予定している新型「MAZDA CX-5」にも適用された。
両社は今後も共創活動を通じて溶接・接合技術のさらなる高度化を図り、自動車の軽量化や環境性能の向上などによる社会課題の解決を目指すとしている。
<受賞概要>
- 賞名: 溶接学会 田中亀久人賞
- 受賞対象: 電着塗装性向上溶接技術の開発
- 受賞者(神戸製鋼所): 宮田 実、鈴木 励一、横田 泰之、井海 和也、山﨑 亮太
- 受賞者(マツダ): 田中 正顕、深堀 貢、斉藤 直子
- 授賞式: 2026年4月22日 大阪大学 中之島センター
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