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【車業界版・今日は何の日】9月1日は「防災の日」!現場で使える顧客トークネタ

台風による飛来物被害と、高張力鋼板ルーフのカット交換・骨格修正

  • #トピックス

2026/09/01

■ 9月1日は「防災の日」

9月1日は、1923年(大正12年)9月1日に発生した関東大震災にちなみ、1960年に内閣が制定した「防災の日」。
日本において9月は台風の本格的な上陸シーズンであり、暴風や豪雨による自然災害が最も警戒される時期だ。自動車においても、強風で飛ばされてきた看板や瓦、折れた木の枝などが車体に直撃する「飛来物・落下物による損傷」は、この時期に一般ドライバーが見舞われる極めて深刻なトラブルである。


■ 車体上部(ルーフ・ピラー)への衝撃と高張力鋼板の特性
台風による飛来物は、多くの場合、車のルーフ(屋根)やフロントガラス、そして車室を支えるAピラーやCピラーといった「車体上部の骨格部分」に直撃する。現代の自動車において、これらのキャビンを形成するピラーやルーフレールには、乗員保護のために1000MPa(メガパスカル)を超える強固な「超高張力鋼板(ハイテン材)」が多用されている。
ハイテン材は非常に硬く、一度鋭角に折れ曲がったり陥没したりすると、従来の鉄板のように裏側からハンマーで叩き出したり、スタッド溶接機で引っ張り出したりする物理的な「鈑金(引き出し)」がほぼ不可能だ。無理に熱を加えて引き出そうとすると、金属組織が破壊されて強度が著しく低下し、次回の衝突時に乗員の命を守る安全性能を担保できなくなる。


■ スポットドリルの活用とルーフパネルの「カット交換」
したがって、飛来物によってルーフパネル全体やピラーが大きく損傷した場合、ほとんどの鈑金塗装工場では「ルーフパネルのカット交換」を実施する。
まず、車室内のシートやルーフライニング(天井の内張り)、ガラス類を全て取り外し、次に、ルーフパネルを接合している数10〜数100箇所の「スポット溶接」の跡を、専用のスポットドリルやベルトサンダーを用いて一つひとつ緻密に削り落とし、損傷した屋根だけを車体から引き剥がす。


■ 構造用接着剤と最新の溶接技術による剛性復元
新しいルーフパネルを接合する際は、メーカーが発行するボデー修理書に定められた厳密な寸法図に従い、ミリ単位のチリ合わせを行う。接合には、熱による鉄板の歪みを防ぐため、航空機にも使われる強力な「構造用接着剤(=パネルボンド)」を塗布した上で、水冷式のスポット溶接機やMIG溶接機を用いて新車時と同等の強度で圧着・溶接していく。

飛来物によるルーフの損傷は、単なる外装のヘコミではない。高度な材料力学の知識と、車体の立体的な剛性バランスを復元するフレーム修正の技術が問われる、車体整備の難関領域の一つだ。