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国交省・機構、第4回「OBD検査モニタリング会合」を開催(後編)

OBD検査システムID不正利用者に対する刑事罰およびID剥奪を注意喚起

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2025/09/22

 国土交通省(国交省)および自動車技術総合機構(機構)は2025年9月17日、第4回「OBD検査モニタリング会合」をAP新橋(東京都港区)で開催した。


 事務局は国交省物流・自動車局自動車整備課と機構OBD情報・技術センター、構成員は日本自動車工業会(自工会)、日本自動車輸入組合(JAIA)、日本自動車機械器具工業会(自機工)、日本自動車機械工具協会(機工協)、日本自動車整備振興会連合会(日整連)、日本自動車車体整備協同組合連合会(日車協連)、日本自動車連盟(JAF)、軽自動車検査協会(軽検協)、交通安全環境研究所。

第4回「OBD検査モニタリング会合」の様子

 今回の第4回会合では、2024年10月1日より開始されたOBD検査において、2025年5月14日から同年8月19日までに関係者を通じて得られた課題についても確認。


 このうち、「複数拠点を構える整備事業者内にて、ある拠点で選任されていた自動車検査員が別の拠点に異動となった際、利用者管理システム上の利用者情報が適切に修正されなかったため、当該自動車検査員が実施したOBD検査結果が複数拠点に混在する」という事例について、国交省物流・自動車局自動車整備課の林健一整備事業指導官は、以下のように説明している。


「OBD検査システムへのアクセスは、セキュリティ確保のため関係者に限定している。利用者情報に変更があった場合は、管理している事業者の責任において速やかに登録変更してほしい。


 OBD検査システムのIDは不正利用につながる可能性があり、もし不正利用した場合は犯罪となり刑事罰に処され、その認証工場のIDは剥奪されるため、IDの管理は厳正に対処してほしい。この報告に関しては意図せずこうなったと思われるが、今後は適切な運用をお願いしたい」

OBD検査システムへの不正アクセス防止を呼びかけるチラシ

 続いて、2025年10月1日より開始される輸入車のOBD検査について、林指導官は「現時点では特段報告されていないが、昨年(2024年)10月に『まだ対応していない』と回答していた171の指定整備事業者を追跡調査したところ、29事業者においてシステム上の準備が整っていないことを確認した。これについては各地方運輸局より直接的な指導を行い、輸入車OBD検査開始までに必要な準備をするよう周知。日整連とJAIAにも8月26日に協力を依頼した」ことを報告。


 また、各地方運輸局に対し、管内の直近の状況についてコメントを求めたところ、関東運輸局は以下のように述べている。


「国産車のOBD検査が開始された昨2024年度から、準備が不充分な可能性がある事業所を把握し、これらで適切に指定整備が行われるよう、監査の際の参考にするという対応を、各支局に事務連絡のうえ実施していた。


 この事務連絡に、特に輸入車ディーラーの準備状況をよく把握するよう2025年4月に追加し、輸入車特有の確認ポイント、具体的にはスキャンツールのDoIP対応や、運転席ドアを開けた状態でOBD検査を実施できない車両についても、監査・指導時に再周知してきた。


 しかしながら、OBD検査システムにID登録はしたものの初回アプリ使用済の段階になかなか進まないといった、認識不足の事業所も確認された。これは、昨年度はプレ運用期間が設けられ、メッセージも大々的に発信されていたが、今年度はそれがないことが理由の一つとして考えられる。


 関東運輸局では、昨年度にポスター周知していた必要なステップ3点、『OBDシステムへの事業所登録』『アプリのインストール』『スキャンツールの準備』、そして練習は9月までに行うことを、輸入車ディーラー向けのデザインに改訂し、整備振興会ご協力のもと、会報誌や会員専用サイトに掲載いただいた。


 だが、取り扱うブランドによっては、まだOBD検査対象車両が入庫しないことも、準備が進んでいない理由として考えられるので、この9月中に全事業所で準備が整うことはないだろう。だが現在実施している対応は10月以降も継続していく」

国交省より日整連およびJAIAへの輸入車OBD検査開始周知依頼事務連絡

(文・写真=遠藤正賢 図=国土交通省)