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電気自動車の安全基準を改正、バッテリー火災時の乗員保護を義務化
2025/09/29
国土交通省は、
電気自動車(EV)などのバッテリー火災に対する安全性を確保するため、「道路運送車両の保安基準等」を改正すると発表した 。国際連合の専門部会で合意された国際基準の改正に合わせ、国内法令に取り入れるもので、
バッテリーが異常発熱した際の乗員保護性能確認試験を義務づける 。
改正の背景と概要
日本は2007年に世界で初めてEVなどの乗員保護に関する安全基準を策定しており 、2011年にその基準をベースとした国際基準が成立し、その後段階的に規制が強化されてきた 。今回、2025年3月に国連の「自動車基準調和世界フォーラム(WP.29)」で合意された国際基準の改正を受け 、国内法令に取り入れることになった 。
改正の柱は、
バッテリー火災の抑制と乗員保護に係る試験法の追加である 。
- 試験方法:EV等の走行用モーターに使用するバッテリーについて、異常発熱を想定し、レーザーを照射するなどして意図的に一部の電池を過熱させる方法で、電池の内部短絡を発生させる 。レーザーを照射する方式は日本が提案したものだ 。
- 判定要件:乗員が脱出するための時間を確保するため、以下のいずれかの要件を満たす必要がある 。
- バッテリー全体が異常発熱に至らないこと 。
- 異常発熱を検知し運転者に対する警告信号を発し、
警告開始から5分間は火災、爆発、車内への煙の放出のいずれも発生しないこと 。
適用時期
この改正基準は、
新型車には2027年(令和9年)9月から、継続生産車には2030年(令和12年)9月から適用される 。関連法令は2025年9月26日に公布・施行された 。
今回の改正では、バッテリー火災の抑制と乗員保護のほか、
「電気式ハイブリッド自動車及び複数の駆動用電動機を備えた電気自動車のシステム出力の決定に係る協定規則(第177号)」等の導入や、型式指定に係る不正行為の防止に向けた検討会の取りまとめを踏まえた基準適用時期の統合も行われる 。
(図は電気自動車の構成要素の例。バッテリー、モーターコントローラー、モーター、高電圧部分が示されている 。)