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【人とくるまのテクノロジー展2025横浜】2代目トヨタC-HRのホワイトボディ:センターピラー上部を2000MPa級1枚に変更し部品重量3.5kg削減

「公道を走るコンセプトカー」実現のためのキャラクターライン成形技術なども紹介

  • #イベント

2025/05/30

 2025年5月21~23日にパシフィコ横浜で開催された自動車技術の展示会「人とくるまのテクノロジー展2025 YOKOHAMA」(主催:自動車技術会)では、自動車技術会構造形成技術部門委員会による「ホワイトボディ展示」が今回も実施された。


 初代モデルは2016年にデビューし、日本でも同年に発売されたものの2023年に販売を終了。しかし欧州では同年に現行2代目へとフルモデルチェンジした、トヨタのCセグメント(ミッドサイズ)クロスオーバーSUV「C-HR」のホワイトボディが展示された。

2代目トヨタC-HRのホワイトボディ・フロントまわり

 2代目C-HRの開発コンセプトは「Concept car for the road」(公道を走るコンセプトカー)。初代と同様にコンセプトカーのスタイルを量産車でも可能な限り忠実に再現する、デザインコンシャスなクロスオーバーSUVとして開発された。


 そのコンセプトモデル「C-HRプロローグ」は2022年12月に発表。初代と同様にフランス南部の「ED2」(EDスクエア)がデザイン開発を主導したそのモデルは、ボディ側面を走るダイヤモンドカットのキャラクターライン、シルバーを基調としつつルーフとリヤクォーターパネル以降を黒、ルーフスポイラーを黄色とした3トーンカラーが、極めて特徴的なポイントとされている。なおこの時点で、市販モデルにはHEVのほかPHEVも設定する計画が明らかにされていた。

トヨタC-HRプロローグ

トヨタC-HRプロローグ

 市販モデルは「TNGA GA-C」プラットフォームを初代より継承し、HEVではフロア骨格のほぼ全体を、PHEVでは駆動用バッテリーを搭載するホイールベース間を新造しつつリヤまわりを、初代のHEVと共用しコストを低減。センターピラーの設計を一新するなど、CセグメントSUVにおける平均的な車両重量への軽量化を図ったのが大きなトピック。

2代目トヨタC-HRのホワイトボディ・側面

 初代は上部が1500MPa級の超高張力鋼板がリインフォースメントを含めて2枚、下部が440MPa級後半の組み合わせだったところ、2代目は上部を2000MPa級の1枚のみに変更。これにより、初代と同等のねじり剛性と側面衝突安全性能を確保しつつ、部品重量を3.5kg削減した。さらにスポット溶接の打点も減らすことで、生産工程におけるCO2排出量を10%削減している。

新旧C-HRのセンターピラー比較図

「C-HRプロローグ」で大きな特徴の一つとされていたボディ側面のキャラクターラインは、内側の金型にPPD(パルス・プラズマ・拡散窒化処理)を施し、さらにプレスラインの頂点付近をレーザーで硬化させる工法を用いることで実現した。

2代目トヨタC-HRのキャラクターライン成形イメージ図

 3トーンカラーは市販モデルには設定されていないものの、リヤクォーターパネル以降をルーフ同色とする塗り分け方は、「バイトーン+」カラーとして選択可能。通常のモノトーンや、リヤクォーターパネル以降がボディ色の一般的な2トーンカラーも用意されている。

2代目トヨタC-HR HEV市販モデル。写真は「バイトーン+」カラー採用モデル

2代目トヨタC-HR HEV市販モデル。写真は「バイトーン+」カラー採用モデル

 会期2日目の2025年5月22日に開催されたフォーラム「車体の最新技術2025」には、トヨタモーターヨーロッパのハカン・アルタンカン氏とホセ・キレス氏が登壇。

トヨタモーターヨーロッパのハカン・アルタンカン氏

 2代目C-HRにおけるリサイクル材の使用拡大や材料着色樹脂使用バンパーによる塗装工程およびCO2排出量削減策、2代目C-HRの生産を担うTMMT(トヨタモーターマニュファクチャリングターキー)に導入された生産技術などについても紹介された。

トヨタモーターヨーロッパのホセ・キレス氏

(文=遠藤正賢 写真=遠藤正賢、トヨタ自動車 図=トヨタ自動車)

2代目トヨタC-HRのホワイトボディ・リヤまわり