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[連載]準備運動(さいよう)から本番(ていちゃく)まで人材を見つめる!
第1回 本当に欲しい人材を採用する
2025/07/17
「とにかく人が足りなくて仕事が回らない」、「募集をしても良い人が応募してくれない」、「せっかく入社してくれたのにすぐ辞めてしまった」。そんな人に関する悩みは尽きることがありません。
現在の日本は、人口減少と物価上昇による賃上げ時代に突入し、あらゆる業種で人材の確保が社会問題となっています。特に自動車業界では、以前のような「車好きの若者」はめっきり姿を消し、若い整備士の確保が極めて難しく、高齢化がどんどん進んでいます。
自動車整備士の有効求人倍率は2022年に5倍を突破しました。これは、1人の整備士の応募に対し、5社以上の求人企業がいる状態です。その5社の中には、ディーラーや大手企業が半数近くあるわけですから、いかに中小の整備工場が人材を採用するのが難しいか、お分かりいただけると思います。
さて、このような採用困難時代において、多くの経営者の思いは、「とにかく、早く人を採用したい」ということではないでしょうか。私も多くの経営者からに経営相談をいただく中で、「どんな求人媒体が効果的なのか」、「即効性があって、コストパフォーマンスの高い求人方法を教えてほしい」という声をよく聞きます。もちろん、「仕事が回らないから即戦力の人材が欲しい」、「欠員が出たから早く補充したい」という状況で、そのような考えになるのはよく分かるのですが、せっかく募集活動にお金や時間をかけて採用できた人材が、活躍できなかったり、すぐ辞めてしまったりと、「こんなはずじゃなかった」という事態は避けたいものです。
私も過去には直営店(自動車販売買取店)で多くの人の採用に携わってきました。良い人材を採用でき、大いに活躍いただいた人もいましたが、失敗も経験しました。資格や経験があり、すぐに活躍してもらえるだろうと採用した人が、自己中心的で自分さえ良ければそれで良いという態度で周りの社員を困らせたり、営業の経験が長く以前の会社ではトップセールスだったという人を採用したら、お客様の要望を聞かず成績や利益を最優先していたりと、「うちの会社には合わない人だった」と後悔することも数多くありました。結果として辞めてしまうというのも辛いことなのですが、その人は辞めず、その人に振り回された大事な元からいた社員が辞めてしまうという悲しい出来事もありました。もちろん、採用後の育成に問題があったとも考えられますが、人材採用においては、自社にとって適切な人材を採用することが最も重要だと考えます。
このような採用のミスマッチは、どのようにしたら避けられるのでしょうか。
今回から始まるこのコラムでは、人数合わせのための人材採用ではなく、「自社で活躍する優秀な人材」を採用する方法について、シリーズで解説していきます。次回は、活躍する人材を採用する「募集」、「面接」、「定着」の3つのステップについてご説明します。
筆者プロフィール

關 友信(株式会社チームエル)
株式会社チームエル 取締役CMO。2006年に愛車広場カーリンクのチェーン展開開始と同時に、カーリンク基礎研修の開発に着手、その後も直営店の出張査定センターのマネジメントやディーラーコンサルティングなど、幅広く様々な仕事を経験、2014年からはCaSSの会員制度を立ち上げ、会員向けのサービスや企画を開発。
株式会社チームエル https://team-l.co.jp/