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【車業界版・今日は何の日】10月29日は「インターネット誕生の日」!現場で使える顧客トークネタ

サイバーセキュリティと「SGW(セキュリティゲートウェイ)」の壁

  • #トピックス

2026/10/29

【車業界版・今日は何の日】10月29日は「インターネット誕生の日」!現場で使える顧客トークネタ


10月29日は「インターネット誕生の日」

1969年10月29日、現在のインターネットの原型となる「ARPANET(アーパネット)」において、2台のコンピューター間で初めて通信が行われた日である。
自動車も今やインターネットに常時接続され、空調の遠隔操作やソフトウェアのOTA(Over The Air)アップデートが日常的に行われるIoTデバイスとなった。しかし、この常時接続化は「ハッキングによる車両乗っ取り」という致命的なリスクを生み出し、これを防ぐための強固なセキュリティシステムが、現場の自動車修理に高い障壁を築き上げている。


SGW(セキュリティゲートウェイ)とは何か

UN-R155を契機に各車両に搭載が広がったファイアウォール

OBD-IIコネクタは、スキャンツールを接続して故障コードを読み取ったり、部品交換後にシステムを初期化したりするための入り口だ。しかし2021年1月、国際連合のサイバーセキュリティ協定規則「UN-R155」が発効したことを契機に、各メーカーはOBDコネクタと車両のメインネットワークの間にSGW(セキュリティゲートウェイ)という強力なファイアウォールを設置するようになった。

自動車の電子制御化とサイバーセキュリティ対策の進展が、整備業界に新たな課題を突きつけている。

SGWが制限する作業の範囲

SGWが設置された車両では、認証されていない汎用スキャンツールを接続しても、以下の作業がブロックされる。

作業

SGWによる制限

DTC(故障コード)の読み取り

可能な場合が多い

DTC(故障コード)の消去

ブロックされる

制御コンピューターの再学習・登録

ブロックされる

エーミング(アクティブテスト・書き込み)

ブロックされる

さらに深刻なのは、エーミング作業において純正スキャンツールでも対応できない事例が散見されるという点だ。ADAS関連部品の交換に至っては、汎用スキャンツールが全く役に立たない状況も報告されている。


整備工場が直面する現実

バンパー交換後のエーミングが完了できない事態

事故修理でバンパーを外しレーダーを交換した工場が、最後にエーミング(システムの校正)を行おうとしても、SGWの壁に阻まれて作業を完了できない事態が発生している。

SGWのロックを解除して書き込み権限を得るには、スキャンツールをインターネットに接続してカーメーカーのクラウドサーバーにアクセスし、有償の認証(セキュリティトークン等)をリアルタイムで取得する必要がある。整備士のIDやツールのシリアルナンバーがサーバー側で認証されて初めて、車両のファイアウォールが期間限定で開放される仕組みだ。

加えて、純正スキャンツールの利用には作業ごとのサーバー接続費用・高額な初期費用・更新料が発生するケースがある。多数のメーカーの車種を扱う工場にとって、これは大きな設備投資を意味する。

ディーラーへの集中と受入能力の限界

SGW対応ができない工場がディーラーへ作業を依頼しても、ディーラー側も整備士不足と働き方改革によって受入能力が限界を迎えており、納期が長い、または対応してもらえないという問題が顕在化しつつある。サイバーセキュリティの壁が、結果的に修理の「たらい回し」を生み出している。


業界と国の対応の現在地

汎用スキャンツールの機能拡張に向けた新スキーム

国土交通省主催の「自動車整備技術の高度化検討会」では、公的な第三者機関がカーメーカーの「OBD情報」を一元的に購入・管理し、一定要件を満たすスキャンツールメーカーへ有償提供する新たなスキームが検討され、大筋合意を得た。標準機が純正機と同様にサーバー認証を受けSGWを通過できる枠組みの構築が目指されている。

ただし、サイバーセキュリティの担保と整備の利便性の調和をどこに置くかという根本的な議論は続いており、カーメーカー・整備業界・国土交通省が一体となった継続的な協議が求められている。


まとめ

項目

ポイント

SGW搭載の背景

2021年発効のUN-R155(国際サイバーセキュリティ協定規則)が契機

制限される作業

DTCの消去・再学習・登録・エーミング(書き込み全般)

ロック解除の条件

インターネット経由でメーカーサーバーに接続し有償認証を取得

現場の課題

純正ツールでも対応できない事例あり。設備投資・認証コストが負担

ディーラーへの集中

受入能力が限界。専業工場からの依頼に対応できないケースが増加

業界の対応

公的第三者機関によるOBD情報管理の新スキームが大筋合意

インターネットの誕生は、自動車修理を「物理的な工具」による作業から、「クラウドサーバーの認証権限」を要求されるITセキュリティの領域へと進化させた。修理の完了が、インターネット接続とクラウド認証を前提とする時代が、既に到来している。