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「後輪が2つとも外れた」衝撃映像が拡散、奇瑞汽車(チェリー)が8878台リコール マレーシアで露わになった中国車の品質問題

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2026/10/14

 6日、マレーシア第二の都市ジョホールバルで、中国の奇瑞汽車(チェリー)が輸出した2023年型SUV「オモダ5」が走行中に後輪軸ごと脱落する事故が発生した。人命被害はなかったものの、後輪が2つとも外れた車両の映像がSNSで拡散し、中国製自動車の品質と安全性に対する懸念が急速に高まっている。この事態を受け、奇瑞汽車は後輪車軸の溶接不良を認め、マレーシア国内で8878台の大規模リコールを発表した。


走行中にタイヤ外れた中国チェリー車…輸出に力入れる中国車の品質に警告灯(中央日報/中央日報日本語版)
https://japanese.joins.com/JArticle/356269


「後輪が2つとも外れた」衝撃と当局の迅速な対応


 事故が発生したのは、シンガポールと隣接するジョホールバルの路上であった。走行中のオモダ5の後輪車軸が突如車体から分離し、後輪が2つとも外れるという衝撃的な事態となった。現場の映像がオンラインで広まると、安全性への議論が沸騰した。


 この事態を重く見たマレーシア道路交通局は、オモダ5の車両形式承認(VTA)と新規車両登録を即座に中断する措置を取った。同局長は11日の声明で、今回の事故が同モデルの安全性に深刻な懸念を提起したと表明。香港紙「明報」が13日に現地メディアを引用して報じたところによると、マレーシア陸上交通庁は奇瑞汽車の生産組み立てラインと、問題となった後輪軸部品の供給会社に対する技術監査を実施する予定である。

実際の事故の様子

「溶接部位の強度不足」、繰り返された欠陥


 奇瑞汽車は11日に謝罪声明を発表し、事故原因が後輪車軸の溶接部位における強度不足であったことを公式に認めた。同社はマレーシアに輸出した同モデル8878台のリコールに踏み切るとともに、中国国内および他の市場で販売された同型車についても点検を行う方針を明らかにした。また、事故を起こした仕様の車両はすでに生産を終了していると付け加えた。


 しかし、奇瑞汽車で同様の車軸分離事故が起きたのはこれが初めてではない。マレーシアでオモダ5が発売されてからわずか1カ月後の2024年4月にも、後輪の破損事故が発生していた。当時、マレーシア当局は販売禁止には至らず、600台をリコールして点検し、問題の部品が使用された60台の後輪車軸を交換するにとどまっていた。わずか2年半で同じ部位、同じ溶接問題が繰り返された形となり、同社の品質管理体制に根本的な問題がある可能性が浮き彫りになった。


「内需崩壊の反作用」としての輸出依存


 奇瑞汽車は、中国の自動車メーカーの中でも特に海外市場への依存度が高い企業として知られる。高級ブランドの「オモダ」と「ジェイクー」は世界77カ国に進出し、累計販売台数は130万台を超える。今年1〜9月の輸出台数は155万台と前年比で65.6%も増加しており、特に9月の輸出台数20万7800台は、中国の自動車業界における月間最大記録を更新した。


 この輸出偏重の背景には、中国国内市場の深刻な「内需崩壊」がある。中国乗用車連帯会議が12日に発表したデータによると、9月の乗用車小売り販売は前年同期比28.0%減の161万8000台にとどまり、12カ月連続のマイナス成長を記録した。補助金の減少、原油高、AI需要に伴う半導体価格の高騰などが原因とされ、中国が誇る新エネルギー車でさえ、小売り販売台数は16.7%減少している。


狭まる輸出の道と信頼の失墜


 内需の不振を輸出で補うという中国自動車産業の戦略は、品質問題と外部環境の悪化という二重の壁に直面している。品質に関する議論は奇瑞汽車だけにとどまらない。ファーウェイの高級ミニバン「マエストロV800」が試験走行中にブレーキペダルが折れる動画が公開されるなど、他社でも問題が報告されている。中国共産党浙江省宣伝部が運営するSNSは、こうした問題を「国産車への悪意ある中傷」と決めつける国内世論を「非理性的な擁護だ」と批判する論評を出し、品質問題への危機感を示した。


 さらに、輸出環境も悪化の一途をたどっている。欧州連合(EU)は中国製ハイブリッドカーに対し、年35万台のクオータ(輸入枠)を早ければ12月1日から適用することで中国商務省と合意。中国政府自身も、来年4月から新エネルギー車輸出の際に払い戻される輸出付加価値税の還付率を現行の13%から9%に引き下げる方針だ。


 内需不振を輸出で埋め合わせる道が狭まる中で、製品の安全性という根幹部分での信頼までが崩れつつある。今回のリコールは単なる一企業の不祥事ではなく、輸出主導で成長を模索する中国自動車産業全体が、重大な岐路に立たされていることを示唆している。品質管理体制の抜本的な改革と、失われた信頼の回復なくして、今後の持続的な成長は望めないだろう。