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東京海上HD、2025年度決算を発表

東京海上日動火災保険単体では、収入保険料及び支払保険金がいずれも前年から上昇

2026/05/27

 東京海上ホールディングス株式会社は、2026年5月20日に「2025年度決算電話会議」を開催した。

 同社は2025年度末に会計基準をIFRSに移行し、それに合わせて修正純利益などのKPIの定義を変更した。今回の決算は移行期であるため、2025年度実績までを「JGAAPベース」、「旧定義の数字」で説明し、2026年度予想から「IFRSベース」、「新定義の数字」で説明している。

コアKPIの動向

 コアKPIである「EPSとROE」について、現中期経営計画に対する進捗を確認するため、IFRSに加えJGAAPの数字も掲載された。いずれのベースでも、順調な利益成長に自己株取得による分母効果も相まって、EPSは好調に拡大している。

 一方、ROEは足元13%と若干均衡状態にある。これは同社のROE定義によるもので、実質的には改善方向にある。同社は、保険本業に比べてRORが劣る政策株式を売却し、RORの高い事業に再投資をしていく途上にある。同社のROE定義では「含み益は分母から控除」しているため、政策株式を売却し、含み益を実現して現金化することは資本(分母)を積み上げることになり、その分ROEの下押し圧力となる。この構造は政策株式ゼロを実現する2029年度まで続くが、売却によりリリースするリスクを活用して更なる利益成長やROEの向上を実現していく途中過程であると説明している。

2025年度実績と豪州訴訟の影響

 2025年度の業績において、トップライン(正味収入保険料と生命保険料の合計)はグループ全体で対前年+1%の59,435億円となった。これは、あんしん生命が2026年3月に「ブロック出再」を追加実行した影響で生命保険料がマイナスとなったためである。一方、損保事業のトップラインは、海外保険事業で対前年+6%、国内損害保険事業で対前年+3%と、いずれも着実に成長している。

 政策株式売却益を除いた修正純利益(本業の利益)について、Actualベースの利益は7,116億円となり、自然災害が少なかったことや北米クレジットにおけるキャピタル損失が減少したことなどにより、対前年+17%となった。一過性の影響を除いたNormalizedベースの数字は6,356億円(対前年-6%)となり、直近2月に公表した通期予想を下回った。

 これは、同社豪州支店におけるGreensill債権に係る信用保険の保険金請求訴訟に一定の進捗があり、2025年度決算に損失を織り込んだためである。Greensillは2021年3月に破綻し、その後2021年10月から2023年6月にかけて10件の保険金請求訴訟が豪州裁判所に提起されている。同社は2022年4月に、意図的な虚偽告知や無告知があったことを踏まえ、取引関係者に対し保険契約は無効である旨を通知し、裁判を通じて同社の立場を適切に主張するための証拠収集などを進めてきた。今般、裁判所による調停が行われ、原告の1社であるGreensill Bankの破産管財人と和解交渉を進めていることから、足元の状況を踏まえ、2025年度決算で妥当なリザーブの積み増しを行った。これを除いたベースでは、各事業のボトムラインは底堅く推移し、概ね通期予想通りに着地した。

2026年度予想と国内セグメントの統合

 2026年度予想において、保険事業のグロス収入保険料とソリューション事業の売上高で構成され、提供している価値の総量を表す指標「Total Business Volume」は、グループ全体で対前年+8%と、全ての事業において拡大する計画である。修正純利益は、IFRSベースの2025年度実績8,815億円をベースに、+8%成長となる9,500億円を見込んでいる。

 事業別の内訳として、海外保険事業では2025年度の自然災害が少なかった反動による減益要素や、Greensill訴訟に係るリザーブ積増しの反動という増益要素がある。これらの一過性要素を除いた実力では、規律を持った保険引受による成長や、昨年実行したボルトオンM&Aの新規連結効果があり、円安効果も上乗せされるため、トータルで+10%成長を企図している。

 国内事業については、2026年度より国内事業総括が損保・生保の両方を見ていくことからセグメントを統合した。2025年度の自然災害が少なかった反動や、政策株式の売却加速に伴う受取配当減といった減益要素はあるが、損保事業における引受け拡大や自動車レートアップが打ち返し、対前年でフラットを見込んでいる。

株主還元及びバークシャーとの戦略的提携による影響

 株主配当について、2025年度のDPS(1株当たり配当金)は、旧基準(JGAAP修正純利益の5年平均)を配当原資とし、配当性向50%を乗じるが、着地が2025年11月公表対比で上振れたため、同公表値から+7円増配の218円だった。2026年度のDPSは、IFRSに移行したため「IFRS修正純利益の3年平均」を配当原資とする。配当性向は従前通り50%を原則とすることとし、会計基準・定義変更の端境期における継続性も重視した結果、DPSは+27円増配となる245円(DPS Growthは+12%)とする。

 自己株式取得については、2026年度は「年間を通じて4,000億円」とする方針だ。これは、足元のESRが引き続き充実した水準にあることや、EPS Growthを押し上げる効果(足元では+2%分押し上げる効果として活用)、足元のM&Aパイプラインの状況、バークシャーとの提携に伴う資本政策の柔軟性向上を総合的に勘案して決定された。

 なお、同社は2026年3月にバークシャーとの戦略的提携を公表しており、その第三者割当増資によって生じる希薄化を相殺すべく、割当額と同額となる2,874億円の自己株取得を公表している。しかし、株価上昇により目的達成には追加の自己株取得が要される見込みである。この追加分については現在進行中であるため、取得株式数が確定した後、下期の株主還元の中で考慮するとしており、先述した4,000億円とは別枠となる。

東京海上日動火災保険単体の収入保険料及び正味支払保険金の動向

 東京海上日動火災保険単体においては、正味収入保険料が対前年比3.1%増の2兆5,963億96百万円、正味支払保険金は同0.4%増の1兆4,545億85百万円。そのうち自動車保険は正味収入保険料が対前年比4.9%増の1兆2,321億91百万円、正味支払保険金は同4.2%増の7,379億69百万円だった。