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その車、積載車に乗るのだろうか

続々と上陸する輸入車の修理事情

  • #コラム

2026/07/28

 トランプ関税政策への対応や日米間の通商交渉を背景に、国産カーメーカーが海外で生産したモデルを日本へ正規輸入する動きが本格化している。大排気量のアメリカンサイズモデルが、メーカーの正規保証付きで購入できるようになったのは車好きにとっては朗報である。しかしこれらの車種には普通の新車とはまったく異なる事情がある。


各メーカーの輸入車販売スケジュール

 2月に国土交通省が「米国製乗用車の認定制度」を新設したことを追い風に、各社が具体的な導入スケジュールを発表している。いずれも販売台数は非常に限られている。

トヨタ:2026年4月発売済み(年内追加予定)
 いち早く動いたトヨタは、4月2日にフルサイズピックアップトラックの「タンドラ」と中型SUV「ハイランダー」の正規販売を開始。しかし、月間販売基準台数は2車種で月間40〜80台程度に絞られている。年内には北米産「カムリ」の導入も予定。

ホンダ:2026年12月発売予定
 北米専売の高級ブランド・アキュラの高性能モデル「インテグラ Type S」と、大型SUV「パスポート」の正規輸入を予定している。こちらも月数十台規模の限定的な販売となる見込み。

日産:2027年導入予定
 大型SUV「ムラーノ」及び海外で人気の本格フルサイズSUV「パトロール(北米名:アルマーダ)」の2車種を2027年中に上陸させる計画。


どのディーラーでも気軽に買えるわけではない

 こうしたモデルは、近所のディーラーで気軽に買えるわけではない。取り扱い店舗はディーラー側からの挙手制にするなどの方法で販売店舗を決めている。
 たとえば、先行して販売開始したトヨタの場合、発売当初の販売窓口はトヨタモビリティ東京に限定された。専用のWebフォームから申し込みを行い、実際の商談やその後の整備・点検作業は、大型車の取り扱いが可能な芝浦店や有明店など限られた拠点の専門スタッフに任されている。


事故をした場合、運べる積載車が限られる

 走れる状態でない事故や故障の際、レッカー移動や搬送が必要になるが、一般的に保険会社のロードサービスなどで巡回している標準的な「2トン積載車(小型トラックベースのキャリアカー)」では搬送できない。

 おそらく2トン積載車では、過積載かはみ出しもしくは横幅がギリギリで断られる。小型ベースの2トン積載車は、荷台長が約5.0〜5.5m、最大積載量が2.0〜2.5トン程度である。タンドラ(車両重量約2.7トン、全長約5.93m)やパトロール(車両重量約2.8トン、全幅約2.1m)を積むと、完全に重量オーバーとなる。また、荷台から車体が大幅にはみ出してリヤのあおりが閉まらず走行自体が危険。
 必要なのは4〜5トンクラスの積載車である。フルフラットを手配し、荷台長6.0m以上、荷台幅2.2m以上、最大積載量3.5〜4.0トン以上のスペックが必須だろう。

 そのため、ロードサービスへ連絡する際は「事故を起こしたから積載車を頼む」だけでは標準の2トン積載車が来て、「大きすぎて載せられない」と搬送を拒否される。事故対応の際は、「タンドラ(全長約6m、重量約2.7t)が載る中~大型クラスの積載車が必要」と明確に伝えなければならない。

2トン積載車に載せた時
2トン積載車に載せた時


運んだ後の修理から洗車まで続く大変さ……

 仮に衝突などでボデーにひずみがあり、ボデー修正装置に載せなくてはいけない場合。……無事乗るのだろうか。セレットを用いたとすると、シルクランプの固定方法を変更して100mmほど拡大可能ではあるが、旧型タイプのベンチではシルクランプ固定幅が足りなくなるのではないだろうか。新型ベンチでは1,600mmまで可能なため、許容限界ではあるが固定できる可能性はある。


 では鈑金修理の場所は確保でき、無事鈑金工程が終了したとしよう。さて、次は塗装である。……塗装ブースに入るのだろうか。おそらくドライブオンでは入りにくく扉に当たりそうである。車幅が広いため左右のすき間に注意しなくてはいけない。ビニールブースなどの簡易塗装ブースではクリアランスが確保できず、作業できないだろう。

 整備作業では、全高が高いため、工場によっては天井配管などに注意が必要である。また、車両重量が2トンを超えているため、リフト上昇後車両を触ると揺れると聞いた。落ちることはないと思われるが、作業時は注意が必要。

リフト



 最後に洗車である。自動洗車機では横のすき間が狭い。使用時は注意が必要だが、写真を見る限り基本的に使用しない方が望ましい……のではないだろうか。

自動洗車機に入るのか



 決して購入しない方がいいということを伝えたいのではない。圧倒的な存在感とパワーを誇る車を所有できる喜びは大きい。だが、購入を検討する際は「どこで整備し、事故の際はどの積載車で運ぶのか」という点まで想定してほしい。