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指数対応単価に根拠なし 日車協連が記者発表

物価指数連動の工賃、算出根拠不明瞭 損保各社が過去の経緯認める

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2025/04/28

日本自動車車体整備協同組合連合会(日車協連)は4月24日、東京海上日動火災保険との工賃単価に関する団体協約締結について報告する記者発表のなかで、大手損害保険会社各社が採用している指数対応単価に明確な根拠がなかったことを明らかにした。

発表によると、損害保険会社各社は1994年まで日本損害保険協会(損保協会)を通じ、地域ごとの基準単価を定め、日車協連の各都道府県単組と工賃単価の交渉を行っていた。しかし、同年、公正取引委員会が損保協会に警告したことを受け、これらの協約は破棄された。

その後、損害保険会社が個々の車体整備事業者と取引価格を決定する際にも、この基準単価が慣例的に用いられてきたという。基準単価はその後、各損害保険会社が消費者物価指数の変動などを考慮し、独自の基準で運用を続け、現在に至っている。

日車協連は、団体協約締結に向けた工賃単価の交渉を進める中で、現在の指数対応単価の基となった基準単価の内訳について損害保険会社側に説明を求めた。今回の記者発表では、その基準単価に具体的な根拠が示されなかったことが明確にされた。30年間没交渉に近い状況が続いただけでなく、損害保険会社側の指数対応単価に根拠がなかったとは、車体整備事業者の心痛を察するに余りある。

損害保険会社は、特に賠償が絡む事故の場合、損害認定金額に合理性が求められる。同一地域で類似した修理内容にもかかわらず、保険金の支払額に差異が生じると、価格が低い方の示談交渉に悪影響を及ぼしたり、訴訟において不利になる可能性がある。このような損害保険会社の立場から考えると、車体整備事業者が個々に自由に価格を設定することで支払金額にばらつきが出ることは、業務上の支障となるわけだ。

損害保険会社を批判するような形になってしまったが、指数対応単価に根拠がないことを認めた現在の損害保険会社各社の首脳陣は素晴らしい対応だったと言える。少なくとも自分たちの代で生じたことではなかったからだ。

今回の発表は、長年にわたり曖昧なまま運用されてきた車体整備の工賃単価決定のあり方に一石を投じるものと見られる。今後の損害保険会社と車体整備事業者の価格交渉にどのような影響を与えるのか、注目が集まる。