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出光興産、米国のCO2除去スタートアップ「CREW Carbon」に出資

排水処理設備をターゲットとしたCDRビジネスの共同検討を開始

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2026/06/08

 出光興産(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:酒井則明)は2026年5月15日、出光CVC(※1)を通じて、WAE(排水アルカリ度増強)(※2)によるカーボンクレジットを世界で初めて(※3)創出したCREW Carbon(本社:米国、Co-founder/CEO:Dr. Joachim Katchinoff、以下CREW社)に出資したことを発表した。

 出光興産はCDRビジネスのノウハウや技術的な知見を獲得するとともに、将来的な日本国内への導入や世界各国への展開も視野に入れ、同ビジネスの実現性および事業性についてCREW社と共に検討する方針だ。


※1 出光 CVC:カーボンニュートラル・循環型社会の実現に貢献するため「低炭素エネルギー」や「先進マテリアル」分野の「革新的な新技術」に戦略的な投資を行う組織。

※2 WAE:Wastewater Alkalinity Enhancement(排水アルカリ度増強)。下水などの排水に溶け込んでいるCO2を石灰石などの自然界に存在するアルカリ性鉱物によって固定化し、最終的に海洋へ放流することで、大気中のCO2除去に貢献するCDRの手法。

※3 米国のカーボンクレジット認証機関であるIsometric社が、CREW社のWAEによるCDR技術に対し、世界で初めてカーボンクレジットを発行

※4 CDR:Carbon Dioxide Removalの略。大気中のCO2を除去すること。


 2050年のカーボンニュートラル達成には、事業活動に伴うCO2排出量の削減に加えて、大気中に存在するCO2を確実に除去するCDRの社会実装が不可欠である。また、CDRによるカーボンクレジット創出の需要が増加するなか、CO2の除去量を正確に測定し、データの透明性を担保する基盤となるMRV(測定・報告・検証)(※5)の高度化が求められている。

 出光興産は、大気中のCO2を回収・吸収し、貯留・固定化する技術の総称であるネガティブエミッション(※6)分野での事業開発を推進している。その一環として、CDRやMRVに関して高度な知見や実績を有するスタートアップへ戦略的な投資を行い、日本を含めたさまざまな国・地域における実現性・事業性の検討を行っている。



※5 MRV:Measurement, Reporting and Verification(測定・報告・検証)。CDRのクレジット発行に必要な「除去量の測定方法」「報告の仕組み」「第三者による検証プロセス」を定める枠組み。

※6 ネガティブエミッション:大気中のCO2を回収・吸収し、貯留・固定化する技術の総称。

CREW社が提供するCDRソリューションの特長

 今回出光興産が出資したCREW社は、CDRの手法の一つであるWAEで世界初となるカーボンクレジットを創出した企業。下水処理場などの排水処理設備を主なターゲットとしたCDRソリューションを提供し、独自のMRVを通じた高品質なカーボンクレジットの創出・販売を行っている。具体的には、以下の特長を有するビジネスモデルの商業化を米国において実現している。

 CREW社が展開するCDRビジネスの主な特長は以下の通りである。

  • 排水に含まれる有機物は、微生物によって分解される際にCO2を発生させる。そのCO2を排水処理設備においてアルカリ物質(CaCO3:炭酸カルシウム)と反応させ、回収する技術を採用している。回収されたCO2は、HCO3-(重炭酸イオン)として河川に放流され、最終的に海へ運ばれ、数千年以上にわたって安定的に固定化される。
  • 必要な追加設備は炭酸カルシウムの貯蔵・注入設備とモニタリング設備のみとなり、大規模な設備導入は不要である。また、一般的に排水処理設備で使用されるpH調整剤を、コスト競争力に優れる石灰石に置き換える。これらにより、低コストでのCDRが実現可能となる。
  • 排水処理設備で回収したCO2量を、モニタリング設備で測定する。また、河川に放流されたHCO3-のトラッキングモデルも開発している。放流後のHCO3-からのCO2放出も加味した正味CO2削減量の正確な算出を実現する独自のMRVを構築し、認証機関からの認証を得たカーボンクレジットを創出している。

日本国内への導入検討と今後の方針

 日本は世界で有数の石灰石の生産地であり、CREW社のCDRソリューションで必要な炭酸カルシウムを安定的に調達しやすい環境にある。国産資源を活用したCDRの展開が期待されるなか、出光興産とCREW社は、同ソリューションの将来的な日本国内への導入も視野に入れ、ビジネスモデルの検討を進める。

 出光興産は、今後もスタートアップとの連携を強化し、技術やアイデアを取り込みながら、新たな価値創出と社会課題の解決に取り組む方針だ。

【参考】

CREW社の概要

 CREW社は、米国に拠点を置き、水処理技術を保有・展開する企業である。廃水処理施設向けに、処理性能の向上、コスト削減、温室効果ガスの恒久的な除去を実現するプロセス強化ソリューションを提供している。