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【車業界版・今日は何の日】9月12日は「宇宙の日」!現場で使える顧客トークネタ

航空宇宙技術から降りてきた「CFRP」とカーボン修復の限界値

  • #トピックス

2026/09/12

■ 9月12日は「宇宙の日」
 1992年9月12日は、毛利衛宇宙飛行士がスペースシャトル「エンデバー」で宇宙へ飛び立った日であり、これを記念して制定されたのが「宇宙の日」である。
 過酷な宇宙空間を耐え抜くために開発された先端素材は、自動車の軽量化技術に多大な恩恵をもたらしてきた。その筆頭が「CFRP(炭素繊維強化プラスチック=カーボン素材)」である。近年、スポーツカーだけでなく一般の量産車にもカーボンルーフやボンネットが採用されており、ユーザーからの「カーボンの白ボケを直したい」「縁石で割ってしまった」という検索流入が急増している。


 

■エポキシ樹脂の紫外線劣化と「白化(チョーキング)」のメカニズム
 CFRPは、強靭な炭素繊維をエポキシ樹脂などで含浸させ、高温高圧で焼き固めた究極の軽量・高剛性素材である。しかし、このマトリックス樹脂(エポキシ等)は紫外線に対する耐性が極めて低く、直射日光を長期間浴び続けると分子結合が破壊され、表面が白く粉を吹くように濁る「白化」を引き起こす。 これを、ユーザーが市販のコンパウンドで磨いても、一時的にツヤが出るだけで数週間後には再び白く濁ってしまう。根本的な解決には、劣化した最表層の樹脂を物理的に削り落とす必要があるが、ここで職人を悩ませるのが「炭素繊維層への到達リスク」である。


■繊維を傷つけないシビアな研磨と、高機能クリアによる封じ込め
 白化した層をダブルアクションサンダーで削る際、ペーパーが奥の「炭素繊維(カーボンの折り目)」にわずかでも触れてしまうと、繊維が毛羽立ち、二度と美しい折り目模様を復元できなくなる。職人は、クリア層と繊維層の境界(数10ミクロン)を指先の感覚と視覚で見極めながら、極めて繊細なサンディングを行う。 下地処理後は、紫外線吸収剤(UVA)を限界まで添加した耐候性の高い「ハイソリッドクリア(2Kウレタンクリア)」を複数回に分けて厚塗りし、焼き付け乾燥を行う。
 宇宙技術の結晶であるカーボン素材の美観を維持するためには、素材の劣化メカニズムを理解した化学的アプローチと、ミクロン単位の研磨技術が要求される。なお、繊維自体が断裂するほどの「割れ」が生じた場合は、強度復元が不可能なためアッセンブリー交換が絶対のセオリーとなる。