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自賠責保険の「借金」約6,000億円、一括返済か

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2025/11/20

自動車の保有者に加入が義務付けられている自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)を巡り、国が過去の運用で生じた借り入れについて、一括で返済する方向で調整に入ったことが、複数の大手メディアの報道により明らかになった。未返済の残高は利子相当額を含め約6,000億円(報道では5,700億円)に上るとされ、早期の財政健全化を目指す動きとして注目される。


自賠責保険の積立金は、交通事故の被害者への確実な補償を目的としており、本来は安定した水準を保つ必要がある。しかし、過去には積立金の一部が一般会計に繰り入れられた経緯があり、これが自賠責保険の「借り入れ」として残高を抱える主要因となっている。


この借り入れは、平成6年度および平成7年度にかけて、当時の自賠責保険特別会計から一般会計に合計1兆1,200億円が繰り入れられたことに始まる。その後、都度繰り戻し(返済)が行われてきたが、近年はそのペースが落ちてきていたこともあり、問題視されていた。現在もなお、利子相当額を含む約6,000億円が未だ繰り戻されていない状況である 。


報道によると、政府・与党内では、この巨額の借り入れについて、現行の長期的な分割返済計画を前倒しし、一括で完済する方向で具体的な検討が進められている模様だ。この背景には、健全な自賠責保険制度の確立と、制度に対する国民の信頼回復を図る狙いがあると見られる。

全額繰り戻しが実現するのか、今後の動向が注目される。