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【改正保険業法】片山さつき財務大臣が語る「兼業代理店の切り捨て」問題、改正保険業法の文言から読み解く

質問記者及び片山大臣の発言を引用しながら兼業代理店にまつわる改正保険業法に関する個所を解説する

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2026/07/07

 7月3日の閣議後記者会見にて、片山さつき財務大臣より改正保険業法についての発言があった。質問記者及び片山大臣の発言を引用しながら該当個所について解説する。なお、以下の内容についてはなるべく当時の発言を記載している。



巨大企業と中小の自動車整備工場を一律に扱ってはならない

 記者の質問では、損害保険会社と兼業代理店、そして金融庁との間で‟現状認識のズレ”が生じているという実態が指摘された。

 その際、ビッグモーター事件以降、損保業界にはコンプライアンスの徹底と業務の品質向上が強く求められるようになった。しかし現場では、それを理由に保険会社が中小の兼業代理店に対して過度な体制整備を求め、対応しきれない代理店を切り捨てる動きが加速している。このように説明した上で記者からは、この状況に対し「これが本当に顧客本位と言えるのか」、「行政として一歩踏み込んだ実態把握が必要ではないか」と問いかけがあった。


 これに対し片山大臣は、ビッグモーター問題を初期から追及してきた立場として現在の状況に対する見解を示した。強調していたのは、「一部の巨大代理店と、全国に7〜8万件あるとされる中小の整備工場を一律に扱ってはならない」という点。
 優越的地位を利用して不正を働いた巨大企業と、地域に根ざして通常の整備業を営みながら単独の保険会社の看板を掲げている小規模な店舗とでは、抱えているリスクも経営体力も全く異なると説明し、「中小の店舗で一律にビッグモーターのような問題が起きるわけではない」と述べた。



法令や監督指針の文言が示す「規模・特性に応じた体制整備」

 片山大臣による発言の裏付けとなるのが、改正保険業法に基づく内閣府令(保険業法施行規則)及び金融庁が定める「監督指針」の具体的な文言だろう。

 同法第294条の3に基づく体制整備義務においては、金融庁の監督指針では代理店の体制整備について以下のように明記している。

・保険募集人は、その業務の規模・特性に応じて、保険会社に課されている体制整備に準じた対応を行うことが必要

・自己の規模や特性に応じて、以下の措置を講じているか

※この文言には続いて、過度の便宜供与(本業への支援を条件とした保険の割り当て等)を防止するための具体的な措置の策定などについてが触れられている。

 さらにビッグモーター問題を契機とした6月の改正では、新たに「特定大規模乗合保険募集人(特定大規模代理店)」という法的な定義が設けられた。これは、大臣が後に「保険収入が10億、20億あるようなところ」と表現した巨大代理店を指し、ここに対しては「法令等遵守責任者の設置」などの厳格な体制整備が新たに義務付けられた。


つまり、ルール全体を俯瞰すると以下のようになるだろう。

特定大規模(巨大代理店): 一律に厳格な体制整備を強く義務付ける
大半の中小代理店: 従来通り、それぞれの「業務の規模及び特性に応じて」必要かつ適切な体制を整備する

 片山大臣の「体制の強化を規模に応じて求めているという考え方が、この6月から施行されております改正保険業法」という発言は、この法令上の「規模・特性に応じて」という文言を鑑みてのこと。

 金融庁のルールを盾に、中小の兼業代理店へ特定大規模並みの「過度な体制整備」を押し付け、それを満たせないことを理由に一方的に契約解除(切り捨て)することは、ルールの曲解であり、法の本来の目的から逸脱しているというのが片山大臣の発言での要旨であり、「非常に遺憾」ということだろう。



金融庁による実態調査を開始予定

 終盤では、すでに金融庁による実態調査に着手していることを明らかにし、今後の損害保険に関する行政の方向性として、片山大臣は以下の2点を両立させる姿勢を示していた。

過度な体制整備の要求や、一方的な契約解除を防ぐ
(法令の「規模・特性に応じて」という原則に基づいた中小代理店の保護)
コンプライアンスの徹底を図る
(規模の大小を問わず、不祥事を防ぎ顧客本位のサービスを提供すること)

 「いくら超大手でも事件が起きた事実は事実。コンプライアンスをきちっとしてもらうことが顧客本位につながる」とし、それを口実にした中小代理店の不当な切り捨ては容認しない構えである。

【参考】
金融庁、片山財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見での質疑応答より、同記事関連個所を抜粋
(2026年7月3日10時09分~10時22分)

記者 質問
自動車業界の兼業代理店のことでお尋ねします。
自動車保険の件なんですけれども、現場では品質向上に名を借りて兼業代理店の切り捨てが進んでおります。金融庁の指導であると、その名を保険会社が使っていることに関しての評価をお願いしたいということ、それで切り捨てということは顧客本位となるのか、損害保険行政の目的を今一度教えてください。
それともう1点なんですが、関連して保険会社と兼業代理店、それから金融庁、現状の把握が全く一致しません。保険代理店の実態はビッグモーターでも問題となったので、一歩踏み込んでデータを収集して代理店の実態把握をすることが行政としては必要ではないでしょうか。3点です、よろしくお願いいたします。

片山さつき財務大臣 回答
ビッグモーター問題は実は永田町で一番最初に取り上げたのは金融調査会長としての私でございまして、
自動車整備や板金という国交省にとってもあまり実態把握が進んでいなかった問題について、国交省は非常によく丁寧に対応してくれたと思っておりますし、そのときにいわゆるレートの問題とかで非常に、一番賃金が上がらない分野の職業であるというようなことも含めて正面から捉えて、
当時の金融庁も今もその観点から適正化ということをきちっとやっていて、決して保険代理店である中小の車屋さんとか自動車整備屋さんですよね、主におっしゃっているところは、
大体7万から8万件ぐらいのところがあると思うんですけれども、それについて一律にビッグモーターのような問題が起きるということはないんですよ。それは優越的地位の問題が大手の何社か、つまり本当に保険収入が10億とか20億とか30億とかあるようなところと1つの保険会社の単独看板をこうやって掲げて、主に普通には通常の整備をしていらっしゃるたくさんのお店と全く同じではないので、そういうことは理解した上でコンプライアンスとかがちゃんと守れるのかという体制の強化を規模に応じて求めているという考え方がこの6月から施行されております改正保険業法でございます。
そこは私も相当しっかり言いましたので、いろいろな声が上がってきているのは非常に遺憾だと思いまして、実態調査をすることになっております。というか、もう既に着手を始めているんだと思います。
その声も謙虚に受け止めた上で、つまり過度な体制整備を決して求めるつもりもないし、一方的に契約解除が持ち出されるような状況というのはよくないので、そういうことがないようにした上で、かつやっぱりコンプラについて事件が起きたということは、それはいくら超大手でも事実は事実ですから、それはコンプラをきちっとしてもらうということが顧客本位にひいてはなりますので、これを両立して、まさに品質向上、損保会社に対しては業務の品質向上を求めたいと、このように思っております。
ですから実態調査をもう始めますというか、始めましたと。始めつつありますので、これを踏まえて業界の方には業務の真の品質向上に向けた取組を求めていきたいというのが我々の姿勢であります。