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バンコクの洪水をスイスイと進む「スイフト」スズキが証明した設計の実力
現地ユーザーらは「スイム」(泳ぐ)と勝手に改名
2026/09/28
9月下旬、タイの首都バンコクは300ミリを超える集中豪雨に見舞われ、市内の広範囲が冠水した。この影響で5万2000世帯が被害を受け、4900人が避難を余儀なくされる事態となった。多くの車両が水没し立ち往生するなか、一台のスズキ・スイフトが冠水した道路をものともせずに走行する映像が注目を集め、その設計思想とドライバーの判断力が浮き彫りになる事例となった。
Sputnik 日本
【思いがけず宣伝に スズキ自動車は洪水に強かった】
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ジムニーかなーって見たらまさかのスイフト!
大洪水の中、まるで何事もないかのように水しぶきを上げて進む一台のコンパクトカー。その横では高級車のBMWが立ち往生している。この衝撃的な映像はSNSで瞬く間に拡散され、ユーザーたちはこのスイフトを「スイム(Swim)」と勝手に改名し、その走破性を称賛した。当初、映像を見た多くの人がスズキが誇る本格オフローダーであるジムニーを想像したが、それが日常の足としてのイメージが強いスイフトであったことに驚きの声が上がった。
このスイフトがなぜ浸水した道路を走り抜けられたのか。その理由は、車両の設計に隠されていた。インドや東南アジア向けに展開しているスイフトは、スコールによる冠水(洪水)、未舗装路の悪路、高湿度・高温環境が日常的に発生するため、エンジンルームの上部にエアボックスが配置されており、空気を取り込む吸気口も日本仕様よりも格段に高い位置に配置されている。これにより、ある程度の水深でもエンジンが水を吸い込んで停止するリスクが低減されていたのだ。この構造的な強みが、未曾有の洪水という極限状況下で発揮された形だ。
パニックにならず、車の性能と水深を冷静に判断する
この走行を成功させた車両のオーナーは、後日、自身のFacebookでその際の状況と運転のコツについて説明している。
オーナーが実践した具体的な方法は以下の通りである。まず、走行ルートの中から可能な限り水深の浅い場所を選び、迅速に通過することを心がける。次に、アクセルを一定に保ち、適切なエンジン回転数を維持する。回転数が低すぎると排気管から水が逆流するリスクがあり、逆に高すぎると車体前方に大きな波が発生し、その水しぶきが吸気口からエンジンに浸入する危険性が高まるからだ。
また、一定の速度で走行することで、車の前方に「船首波(bow wave)」と呼ばれる波が形成される。この船首波がエンジンルーム周辺の水を押し分け、一時的に水位を下げる効果を生み出し、水の浸入リスクをさらに低減させたという。これは単なる幸運ではなく、流体力学の原理に基づいた冷静な判断と操作技術の賜物であった。
運次第で危険、まねせずホイール中心以上の水深では渡渉しない
しかし、この成功事例はあくまで稀なケースであり、専門家は安易に模倣することの危険性を強く警告している。オーナー自身も「たまたま運良くうまくいっただけ」「絶対にまねしないように」と注意を喚起している通り、冠水路の走行は常に高いリスクを伴う。
プロの整備士によれば、このような走行は多くの幸運な要素が重なった結果であり、のっぴきならない理由が無い限り ホイール中心以上の水深では渡渉しない方がいい。万が一、やむを得ず冠水路を走行する場合は、速度は10km/h以下で徐行するのが鉄則であり、エンジン回転はせいぜい1000rpm以下を意識するとのこと。渡れたからといってクルマは大丈夫ではなく その後のメンテナンスが必要と述べている。
このバンコクでの一件は、異常気象が常態化しつつある現代において、車両設計が持つ耐水性の重要性を示唆している。同時に、いかなる技術的な優位性も、それを過信せず、リスクを正しく理解するドライバーの冷静な判断力があって初めて活かされるという教訓を残した。今後の自動車開発においては、こうした都市型災害への適応力も一つの評価軸となるのかもしれない。
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