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【車業界版・今日は何の日】11月4日は「ユネスコ憲章記念日」!現場で使える顧客トークネタ

車体防錆の要「EDコート」の熱破壊と、亜鉛プライマーの補完

  • #トピックス

2026/11/04

【車業界版・今日は何の日】11月4日は「ユネスコ憲章記念日」!現場で使える顧客トークネタ


11月4日は「ユネスコ憲章記念日」

1946年11月4日は、「国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)憲章」が発効し、同機関が正式に発足した日である。
世界遺産の保護と文化の保存を担うユネスコだが、自動車という工業遺産(車体)をサビという自然の猛威から保護・保存するための絶対的なバリアが存在する。それが、自動車メーカーの製造ラインで施工される「カチオン電着塗装(EDコート)」である。


電着槽で作られる防錆バリア

ホワイトボデーを丸ごと沈める

新車のボデー骨格が組み上がった直後、塗料がまだ一切塗られていない状態のホワイトボデーは、脱脂や化成処理といった前処理を経て、巨大な電着槽の中に丸ごと沈められる。槽の中には、防錆力に優れた水溶性のエポキシ樹脂系塗料が満たされている。

電気の力で塗膜を析出させる

車体側をマイナス極、槽側をプラス極として、数百ボルトの直流電圧をかける。すると塗料の粒子が電気の力で鉄板の表面へ移動し、塗膜として析出する。これがカチオン電着塗装だ。

項目

内容

塗料

水溶性のエポキシ樹脂系塗料

極性

車体側がマイナス、槽側がプラス

電圧

数百ボルト(200〜400V程度が一般的)

膜厚

約20ミクロン前後

特徴

付き廻り性が高く、複雑な形状にも均一に塗膜が付く

袋状の空間まで塗膜が付く

電着は液体に浸す工法のため、サイドシルの内部やフレームの袋状の空間など、スプレーガンでは届きにくい箇所にも、均一な膜厚で塗膜が形成される。内板の防錆に適しているのは、この付き廻り性の高さによる。


溶接熱が防錆バリアを破壊する

修理工程でEDコートは失われる

事故修理で鈑金塗装工場がボデーパネルを切り取り、MIG溶接やスポット溶接を行うと、溶接部とその周辺のEDコートは熱で損傷し、防錆力を失う。メーカーが工場で作り上げた防錆層は、修理によって部分的に失われることを前提に考える必要がある。

新品パネルのプライマーは問題ないのか

新品パネルに施されているプライマー塗装は、鋼板に対する防錆能力を発揮している。修理書に指示がある箇所以外は、そのまま使って問題ないという見解が一般的だ。

ただし、プラサフは本来、防錆を目的として塗るものではない。肉持ち・耐水性・密着性・平滑性を確保し、上塗りを含めた塗装系全体で防錆性能を高める役割を担う。飛び石で塗膜がはがれたときの錆の危険性は、塗膜が厚いほど下がる。なお、塗料はすべて紫外線に弱く、パネルの保管状態によって判断が分かれる点にも注意したい。


防錆を再構築する修理の工程

溶接前の防錆処理

溶接前に、パネルの合わせ面へ導電性のある溶接用の防錆プライマーを塗布する。通電性のある製品を使うことで、溶接性を保ちながら合わせ面の錆を防ぐ。

項目

注意点

製品の選定

溶接用として通電性が確保された製品を使う

膜厚

厚く塗りすぎない。アーク熱でプライマーが分解し、気孔(ピット)などの欠陥を招く

作業の根拠

メーカーの修理書と製品の仕様に従う

溶接後のキャビティ防錆

溶接後は、パネルの隙間からロングノズルを差し込み、袋状の内部空間に浸透性のキャビティワックスを充填する。水分や酸素との接触を抑え、内部から進む錆を防ぐ。

袋状の内部は、外から見えないだけに、後から錆が顕在化しやすい。修理後に時間を置いて発生する錆は、施工時には気づきにくい。


まとめ

項目

ポイント

カチオン電着塗装

車体を電着槽に浸し、数百ボルトで水溶性塗料を析出させる

付き廻り性

袋状の内部にも均一な塗膜が付く

溶接熱の影響

溶接部周辺のEDコートが損傷し、防錆力を失う

新品パネルのプライマー

修理書の指示箇所以外は、そのままで問題ないという見解が一般的

プラサフの役割

防錆が目的ではなく、塗装系全体で防錆性能を高める

溶接前の防錆

通電性のある溶接用防錆プライマーを、厚塗りしすぎずに塗布

溶接後の防錆

袋状の内部にキャビティワックスを充填

メーカーが電気と電着槽で作り上げた防錆層を、修理現場では防錆剤の選定と塗布の精度で再構築している。完成後には見えない部分の処理こそが、車体の寿命を左右する。