JOURNAL 

【車業界版・今日は何の日】9月11日は「公衆電話の日」!現場で使える顧客トークネタ

コネクテッドカーの「通信エラー」とバッテリー脱着の落とし穴

  • #トピックス

2026/09/11

■ 9月11日は「公衆電話の日」
 1900年9月11日は、日本で初めて自動電話(現在の公衆電話)が東京の主要駅などに設置された日。
 通信インフラの歴史を象徴する日だが、現代の自動車もまた「走る通信機器(コネクテッドカー)」へと進化を遂げている。この通信機能の高度化により、一般ユーザーがDIYでバッテリー上がりに対処したり、ドライブレコーダーを取り付けたりした直後に、「SOSコールが異常を知らせる」、「ナビの通信が繋がらない」といったトラブルで整備工場に駆け込むケースが急増している。




車両専用通信モジュール(DCM)と常時電源の喪失
 現代の車両には、緊急通報システムやリモート車両診断を行うための専用通信機「DCM(データ・コミュニケーション・モジュール)」が搭載されており、エンジン停止中も常に微弱な電流を消費してセンターと通信を行っている。 ユーザーがDIYでバッテリーのマイナス端子を外したり、完全にバッテリーが上がって電圧が低下したりすると、このDCMへの電源供給が突然絶たれる。すると、通信システムが「システム異常」あるいは「不正な電源遮断」と自己判断し、車両のECU(電子制御ユニット)にDTC(故障コード)を記録して、通信を強制的にロックダウンしてしまうという仕組みだ。


鈑金塗装工場におけるバックアップ電源とスキャンツールの必須化
 この問題は、ユーザーのDIYだけでなく、鈑金塗装工場の実務においても極めてシビアな課題となっている。溶接作業(MIG溶接やスポット溶接)を行う際、サージ電流によるコンピューターの破壊を防ぐためにバッテリーのマイナス端子を外すのが従来のセオリーであった。しかし、現在のコネクテッドカーで無防備に端子を外すと、前述のDCMエラーに加え、パワーウィンドウの挟み込み防止機能やステアリング舵角センサーの初期値まで全てリセットされてしまう。 これを防ぐため、プロの現場ではOBDポートから「バックアップ電源」を供給しながら作業を行うか、あるいは作業後に最新の「スキャンツール(外部自己診断機)」を接続し、蓄積されたDTCの消去および各モジュールの再学習・初期化設定(キャリブレーション)を確実に行う。通信インフラと化した現代の自動車修理には、物理的な鈑金技術と同等以上に、ネットワークシステムの論理的な初期化プロセスが不可欠となっている。