JOURNAL 

【車業界版・今日は何の日】9月25日は「10円カレーの日」!現場で使える顧客トークネタ

悪質な「10円パンチ(線キズ)」の深さと防錆処理の限界

2026/09/25

■ 9月25日は「10円カレーの日」
 1971年9月25日、東京・日比谷公園のレストラン松本楼が焼失から再建された際、感謝の意を込めて「10円カレー」を提供したことに由来する記念日である。
 10円硬貨にちなむ日だが、自動車のボディにおいて「10円」という言葉は、極めて悪質な器物損壊トラブル「10円パンチ(硬貨等による意図的な引っかき傷)」を想起させる。


■ クリア層を突き破る「深い溝」と錆の進行
 いたずらによる線キズは、木の枝などで擦った自然なキズとは性質が全く異なる。犯人は硬貨や鍵などの金属片を強い力で押し付けて塗装を引き裂くため、最表層のクリヤーコートやカラーベースを完全に突き破り、下地の電着塗装(EDコート)や、最悪の場合は素地の「鉄板(鋼板)」まで達する深いV字型の溝を刻み込んでいるケースが大半だ。ユーザーの中には応急処置として市販の「タッチアップペン」を塗って溝を埋めようとする人もいるが、素人が塗料を盛るとミミズ腫れのように跡が盛り上がり、美観を著しく損なうだけでなく、傷の最深部に残った水分を閉じ込めてしまい、内部で致命的な「サビ」を進行させる原因となる。


■ フェザーエッジの作製と「ブロック塗装」の判断
 10円パンチを完全に修復するには、タッチアップや磨きではなく、本格的な「再塗装」が必須となる。まず、深い溝の底までダブルアクションサンダーで削り込み、フェザーエッジを広範囲に作製する。その後、防錆力のある2液型ウレタンサフェーサーを塗布して表面を平滑に再構築する。 10円パンチの厄介な点は、フロントフェンダーからドア、リヤクォーターにかけて「複数のパネルを跨ぐ長い一直線のキズ」にされることが多い点だ。被害が複数パネルに及ぶ場合、広範囲へのボカシ塗装、あるいはパネル全体のクリヤ―コート仕上げが必要となり、修理費用は数十万円規模に跳ね上がる(※車両保険の一般条件等で「いたずら」として保険適用・1等級ダウンとなるケースが多い)。
 悪意による物理的破壊は、塗膜の全ての層を再構築する高難度の塗装技術を要求するのである。