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【オートモビルカウンシル2025:トヨタ自動車】ネッツトヨタ富山がレストアしたA70系など歴代スープラとその復刻部品を展示

新たに「トヨタクラシック」と総称してヘリテージカー保存や整備・修理技術継承などの取り組みを紹介

  • #イベント

2025/04/24

 2025年4月11~13日に幕張メッセで開催された、新旧名車と自動車文化の展示会「オートモビルカウンシル2025」。


 トヨタ自動車は、ヘリテージカーの保存・継承や、廃盤となった旧車部品を復刻・販売する「GRヘリテージパーツ」の開発・販売、クルマ文化に触れる場作りなどの活動を、新たに「トヨタクラシック」と総称。

オートモビルカウンシル2025のトヨタ自動車ブース。手前はA80系トヨタ・スープラ

「未来のモノづくり技能育成のためにレストアされた」という初代セリカリフトバックや、GRヘリテージパーツによって蘇ったA70系およびA80系スープラを展示した。

初代トヨタ・セリカリフトバック

 またA70・80系スープラ用をはじめとした「GRヘリテージパーツ」を、企画検討中のものも含めて出品。現在の製造技術を用いて当時のものより進化させた部品も提案している。

現在の製造技術を用いた機能向上を検討中のAE86型トヨタ・カローラレビン/スプリンタートレノ用エンジン部品

 合わせて旧車のカタログ・修理書・配線図集を復刻したものも展示・即売された。

復刻された旧車のカタログ・修理書・配線図集

 さらに、現行A90系(正式な型式はDB#6系)スープラの究極系と位置付けられている、国内150台限定の最終モデル「A90ファイナルエディション」を出品している。

現行トヨタGRスープラ“A90ファイナルエディション”

 そのほか、今回の「オートモビルカウンシル2025」における日本車メーカー共通展示企画 「過去から見た未来」に合わせ、1989年の東京モーターショーで公開されたコンセプトカー「4500GT」を披露している。

トヨタ4500GT

 このうちA70系スープラは、レストア事業を展開しているネッツトヨタ富山GRガレージ富山新庄にトヨタガズーレーシングが、ヴィンテージクラブby KINTOでのレンタルを終了した同車のレストアを依頼し、今回の「オートモビルカウンシル2025」に合わせて展示したもの。


 会期初日の4月11日には、トヨタ自動車ガズーレーシングカンパニーの高橋智也プレジデント、ネッツトヨタ富山の笹山泰治社長、同社GRガレージ富山新庄の梅沢浩志GRコンサルタントによる記者会見も行われ、同企画の経緯が説明された。

ネッツトヨタ富山GRガレージ富山新庄がレストアしたA70系トヨタ・スープラと、同社の笹山泰治社長、同店の梅沢浩志GRコンサルタント、トヨタ自動車ガズーレーシングカンパニーの高橋智也プレジデント

 その中で笹山社長は、「先代の社長が根っからのクルマ好き・旧車好きで、当社では17年間レストア事業を展開しており、これまでにトヨタ車以外を含む約40台をレストアしている。クルマという工業製品を綺麗にするだけではなく、そのオーナーの思い出を甦らせるお手伝いができるこの事業は、非常に意義深いものと思い、今までやってきた」と、同社でのレストア事業への想いを語っている。


 また、「他のお客様のご依頼を受けているので決して余力があるわけではないが、GRヘリテージパーツプロジェクトを展開するなど、トヨタ自動車さんがこの分野の後押しを非常に強くしてくれているので、2024年秋にご依頼いただいた際『ぜひやらせて下さい』とお受けした」と、背景を説明した。


 梅沢コンサルタントは、「レストアは進めるごとにカーオーナーの『もっとこうしたい』という欲求が生まれ、追加作業が発生することが多く、納期を約束できないのが通例。だが今回はこのオートモビルカウンシルに出品することが条件だったため、今日の展示に間に合わせるためどこまで作業するかという、通常とは逆の発想でスケジュールを組まなければならなかった」と補足。


 さらに、レストア作業上特に苦労したポイントとして、「バックドアの開口部が水平方向に広く、雨水がスペアタイヤハウスに溜まりやすい構造のため、錆びで穴だらけになっていた」ことを挙げ、「大きな穴が開いていた箇所は切り取り、新しい鋼板を移植手術して、耐チッピング塗装も新車同様に施した」ことを明かしている。

錆びを全面的に補修のうえ耐チッピング塗装が施されたA70系スープラの下回り

(文・写真=遠藤正賢)