JOURNAL 

【車業界版・今日は何の日】9月6日は「黒の日」!現場で使える顧客トークネタ

ソリッドブラックの洗車キズと、オーロラマークを防ぐ研磨理論

  • #トピックス

2026/09/06

■ 9月6日は「黒の日」
 9月6日は「く(9)ろ(6)」の語呂合わせから、京都黒染工業協同組合が制定した「黒の日」である。
 自動車市場において、ブラック系のボデーカラーは高級感とリセールバリューの高さから常にトップクラスの人気を誇る。しかし、ひとたびユーザーの手に渡ると「洗車キズが目立つ」「ワックスを塗ったらギラギラした跡が残った」といった、美観の維持に関する悩みや検索(「黒い車 洗車キズ 消し方」等)が最も多く寄せられるシビアなカラーでもある。


■ 202ブラックに代表される「ソリッドブラック」の脆弱性
 黒系塗料の中でも、トヨタの「202ブラック」などに代表されるメタリックやパールを含まない「ソリッドブラック」は、技術者が最も神経を使う塗膜である。
 光を乱反射させる光輝材(アルミフレーク等)が一切入っていないため、数十ミクロンレベルの極めて微細なスクラッチであっても、光の屈折によって白く浮き上がり、肉眼で容易に視認できてしまう。さらに、黒いボデーは太陽光の熱を吸収しやすく、夏場は表面温度が80度近くに達するため、付着した水道水のカルキやミネラル分が瞬時に焼き付き、強固なイオンデポジット(水ジミ)を形成する。


■ シングルアクションポリッシャーが引き起こす「オーロラマーク」
  一般ユーザーが市販のコンパウンドでキズを消そうとしたり、技術不足の作業者が安易にポリッシャーを当てたりすると、直射日光の下でメラメラとオーロラのように輝く磨き跡「オーロラマーク(ホログラム)」が発生する。これは、切削力の高いシングルアクションポリッシャーのバフ目が、塗膜に一定の規則的な微細キズを刻み込んでしまうために起こる光の回折現象である。


■ 摩擦熱のコントロールとダブルアクションへの移行
 このオーロラマークを完全に消し去り、鏡面のような漆黒を復元するには、研磨理論に基づいた高度なポリッシング技術が不可欠となる。初期研磨でキズの深さまでクリヤー層を均一に削り落とした後、仕上げ工程では「ダブルアクションポリッシャー」へ持ち替える。 超微粒子の水溶性コンパウンドと、目の細かいウレタンバフを組み合わせ、塗膜に摩擦熱を与えないようポリッシャーの自重のみで優しく滑らせていく。規則的なバフ目をランダムな軌道で散らし、肉眼で見えないレベルまで平滑化する。
 ソリッドブラックの仕上げは、機材の特性とコンパウンドの切削粒子が砕けるタイミングを完全に掌握した職人にのみ許される、極めて高度な表面処理技術である。