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【車業界版・今日は何の日】10月24日は「トリコロール記念日」!現場で使える顧客トークネタ

多色塗り分け塗装の段差処理と「ダブルクリア」の平滑化理論

  • #トピックス

2026/10/24

【車業界版・今日は何の日】10月24日は「トリコロール記念日」!現場で使える顧客トークネタ


10月24日は「トリコロール記念日」

1794年10月24日、フランス国民公会が青・白・赤の三色旗(トリコロール)を国旗として制定した日である。色が明確に分かれた美しい境界線はデザインの基本だが、自動車の外装においても、ルーフとボディで色が異なる「ツートンカラー」や、バンパー下部を別の色で塗り分けるカスタムペイントが広く普及している。この「複数の色を塗り分ける」という工程は、鈑金塗装工場において最も手間と時間を要する極めてシビアな塗装技術の結晶である。


マスキング境界に生じる「塗膜の段差」とそのリスク

マスキングテープの選択と「剥がすタイミング」

複数の色を塗り分ける際、仕上がりを決定づける最初の要素がマスキング技術だ。塗料の侵入をただ防ぐだけでなく、用途に応じた素材の選択が不可欠となる。

テープの種類

用途

和紙ベースの直線用テープ

シャープな直線の見切り線

クレープ紙の曲線用テープ

アール(曲線)ラインへの追従

耐熱性アクリル系粘着剤テープ

塗装ブースでの焼き付け乾燥(熱)に耐える箇所

さらに、テープを剥がすタイミングもシビアだ。早すぎれば塗料が垂れ、遅すぎれば硬化した塗膜が割れてギザギザなラインになってしまう。指触乾燥の絶妙なタイミングを見極め、塗膜に対して鋭角にテープを引き抜くことが求められる。

なぜ段差が必ず生まれるのか

テープの選択とタイミングを完璧に制御したとしても、マスキングを剥がした境界線には後から塗った塗料の厚み分(数十ミクロン)の段差が必ず残る。これは工程上の必然であり、職人の腕とは無関係に発生する物理的な結果だ。

段差を放置したまま仕上げるとどうなるか

この段差をそのままにしてクリヤーコートを吹き付けると、以下の2つの問題が発生する。

問題

内容

光の歪み

段差部分で光の反射が乱れ、塗り分けのラインが手で触れてわかるほど浮かび上がる

クリヤー剥離の起点

段差の角は塗膜が薄くなりやすく、洗車時の摩擦等でクリヤー層が剥離しやすい

「仕上がった」と「完成した」は、段差の処理を省いた時点で別物になる。


段差を消す「ダブルクリヤー工法」の全工程

第1工程:1回目のクリヤーを厚く吹き付ける

塗り分けが完了したパネル全体に、1回目のクリヤーコートを通常より多めに塗り重ね、塗装ブースで完全に焼き付け乾燥させる。この1回目のクリヤーは鏡面を作るためではなく、中研ぎで削り込むための「削り代」を確保するために吹く。

第2工程:中研ぎ——色の段差を物理的に削り落とす

完全硬化後、耐水ペーパーを用いてクリヤーの層を削り、色の段差を平らに削り落とす「中研ぎ」を行う。使用する番手は段差の大きさや状況に応じて選択し、荒削りから仕上げに向けて番手を細かくしていくのが基本だ。

この工程で最も要求されるのが「削りすぎない」技術だ。削りすぎて下地のカラーベースに達してしまうと、全工程やり直しになる。クリヤーの層の中だけで段差を消しきるという、ミクロン単位の感覚が求められる。

中研ぎが終わった状態のパネル表面はすりガラス状になる。これが次工程への正しい下地の状態だ。

第3工程:2回目のクリヤーで最終鏡面を構築する

段差が消え、平滑化されたパネルに対し、再び塗装ブースで2回目のクリヤーコートを吹き付ける。下地が完全に平滑化されているため、2回目のクリヤーは鏡のように均一にレベリング(平滑化)し、境目の全く見えない完璧なツートンカラーが完成する。


まとめ

項目

ポイント

マスキングテープの選択

直線用・曲線用・耐熱用と用途に応じて使い分ける

剥がすタイミング

指触乾燥のタイミングを見極め、鋭角に引き抜く

段差の発生

マスキング境界への後塗りにより物理的に必ず生じる

段差放置のリスク

光の歪み+クリヤー剥離の起点になる

1回目のクリヤー

削り代を確保するために厚く吹く

中研ぎ

クリヤー層の中だけで段差を削り落とす。削りすぎると全やり直し

2回目のクリヤー

平滑化された下地の上で均一にレベリングし鏡面を完成させる

多色塗り分けの美しさは、マスキングの精度だけでは生まれない。塗膜という層を積み上げ、削り、また積み上げるというレイヤー構築のプロセスによって初めて完成するのである。