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2026年10月より「個人ばく露測定」義務化、必要な対策とコスト削減例

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2026/09/12

 10月1日から改正労働安全衛生法および関係省令に基づく「個人ばく露測定」の義務化が施行される。塗装ミストや溶接ヒュームなどに含まれる化学物質を扱う鈑金塗装工場にとって、この法改正への対応は必要となるだろう。


「個人ばく露測定」義務化の背景

 2024年4月より「化学物質の自律的管理」が完全義務化され、事業者は作業者が吸入する化学物質の濃度を国が定める濃度基準値以下に抑えることが義務付けられた(労働安全衛生規則第577条の2)。この濃度基準値以下であるかどうかを正確に確認する手段が「個人ばく露測定」である。
 これまでの作業場全体の環境測定とは異なり、作業者一人ひとりに個人サンプラーを装着させて個別のばく露量を測定、記録しなければならない。さらに10月1日の施行により、「個人ばく露測定講習」を修了した作業環境測定士など、一定の有資格者が測定(またはデザイン・サンプリング)を実施することが新たに義務付けられる。無資格者による独自の測定は法的に認められなくなったため注意が必要である。


測定について

 法令施行に向けて塗装作業者を想定すると、工場側が準備・想定した方が良いのは以下の4つだろうか。

1.SDSの確認と対象物質を特定しておく
 現在使用している塗料や硬化剤などの安全データシート(SDS)を確認する。その中からリスクアセスメントの対象であり、かつ「濃度基準値」が設定されている物質を洗い出す。

2.測定計画の策定と測定機関の手配
 塗装ブース内で作業する塗装や調色など、ばく露リスクの高い技術者を選定する。10月以降は有資格者による測定が必須となるため、対応可能な作業環境測定機関などを探し、スケジュールの確保と予約を行う。

3.サンプラーの装着と測定実施
 測定当日は、対象作業者の服の襟元など呼吸域(なるべく顔に近い位置)に小型のサンプラーを装着する。作業者はサンプラーを付けたまま、普段通りに塗装や乾燥、調色といった業務を1日(原則6~8時間)通して行う。
 作業終了後、回収したサンプラーを分析機関へ送って化学分析となる。8時間の時間加重平均値(TWA)として「作業者が実際に吸い込んだ平均濃度」が算出され、それが国の定めた濃度基準値を下回っているかが確認、評価される。

4.改善措置と記録の保存(原則30年)
 もし濃度基準値を超えていた場合は、プッシュプル型などの排気装置の改善や、電動ファン付き呼吸用保護具などの防護係数がより高い保護具への変更といった対策が必須となる。また、測定結果や評価の記録は原則として3年間(がん原性物質は30年間)の保存義務がある。


コスト削減の切り札「ハイブリッド方式」

 法令に対応するため、外部機関に一切委託せずすべてを自社で行うことは非常に困難である。すべてを内製化するには、国家資格である「作業環境測定士」を採用・育成した上で、高額な化学分析機器を導入しなければならない。
 そこで多くの鈑金塗装工場が検討するであろう方法が、一番時間と労力がかかるサンプリング(現場での立ち会い)のみを自社のスタッフで行い、計画と分析だけを外部機関に委託するハイブリッド方式である。

 自社スタッフがサンプリングを担当するには、まず日本作業環境測定協会などの登録講習機関が開いている「個人ばく露測定(サンプリング)講習」を受講しなくてはならない。受講資格などはなく、サンプリング機器の取り扱いや装着方法、記録の取り方といった一連の業務に必要な知識と実技が学べる。
 ただし、すでに作業環境測定士の資格を持っている者が一連の業務を行う場合は、「個人ばく露測定(デザイン等)講習」という別の講習が必要となる。


ハイブリッド方式導入による個人測定フロー例

・自社スタッフによる講習受講
 自社スタッフ(工場長などの管理者)に「個人ばく露測定(サンプリング)講習」を受講してもらい、修了証を取得する。

測定機関への部分委託
 作業環境測定機関に対し、「現場でのサンプリングは自社の講習修了者が行うため、デザイン(計画立案)とサンプルの分析のみを依頼したい」と契約を結ぶ。

機材の受け取り
 機関の有資格者が作成した測定計画書と実際に使用する小型サンプラーが工場に届く。

自社でのサンプリング実施
 講習を修了した自社スタッフが計画書に従い、対象作業者の呼吸域にサンプラーを装着。6〜8時間の作業中、機器の稼働状況を監視して記録する。

返送とレポート受領
 作業終了後、サンプラーと記録用紙を機関に返送する。機関側で化学分析が行われて評価結果レポートが届く。

 この方式を採用すれば、外部の専門家を丸1日(6〜8時間)工場に拘束するための派遣費用や出張費を大幅に削減しうる。



 10月の法令施行が目前に迫る中、外部の作業環境測定機関への依頼が増えることが予想される。依頼先が見つからず法令違反とならないための手段の一つとして「ハイブリッド方式」の導入はいかがだろうか。