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WECARSが自賠責保険の取扱いを開始へ、保険代理店登録を完了

~過去の不正とどう決別するか、整備と保険の「切り離し」で問われる真価~

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2026/11/02

旧ビッグモーター(BM)の事業を引き継いだWECARS(本社:東京都千代田区)は、12月1日から自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の取扱いを始める予定だ。
対象は関東地区の5店舗(多摩店、鴻巣店、熊谷店、つくば店、千葉店)で、引き受け保険会社はAIG損害保険である。自賠責保険を扱う損害保険代理店としての登録が完了したことを受けたもので、「お客様の利便性向上」を目的に挙げている。

同社は、全国の自社整備工場で認証または指定工場の資格を取得して車検などのサービスを提供している。ただし現在は、車検時に必要な自賠責保険の手続きを外部に委託している。そのため、顧客に一定の時間を要するなどの不便が生じていたという。
取り扱いはまず関東の5店舗で始め、募集品質とコンプライアンス態勢の運営状況を確認した上で順次拡大する方針だ。


旧BMの不正問題と法令順守体制の再構築

背景には旧BMをめぐる保険金不正請求問題がある。
BMでは、2023年車を故意に傷つけるなどして修理費を水増しし、損害保険会社に過大な保険金を請求する不正の横行が発覚した。同年、保険業法に基づき代理店登録を取り消されている。

その後、BMは経営危機に陥り伊藤忠商事などに主要事業を売却した。WECARSは2024年5月、伊藤忠商事の支援を受けてBMの従業員や店舗を承継する形で発足。再発防止に向けて法令順守体制を強化し、登録申請を進めてきた。金融庁は要件を満たしているとして登録を受け付けた。


利益相反を防ぐ新組織体制と「三線管理」

利益相反の防止策としては組織体制を見直しに取り組んだという。自動車売買や車検を所管するCOO(Chief Operating Officer)の傘下ではなく、商品管理や整備鈑金指導を担うCPTO(Chief Product & Technology Officer)の傘下に独立した「保険・物流統括部」を新設。併せて、顧客への重要事項説明や自賠責保険契約に関する意向確認の仕組みを整えた上で、次の三線管理体制を構築した。

・第1線:保険加入手続きを行う店舗
・第2線:保険募集業務全体を統括・管理する保険・物流統括部、及び教育・指導・モニタリング機能を担うコンプライアンス推進部
・第3線:社外監査役等で構成され、独立した監査機能を持つ監査役協議会

同社は各部門の役割と責任を明確にし、三線管理体制による継続的な牽制と検証を通じて法令等を遵守した保険募集運営に努めるとしている。この保険募集管理態勢は代理店登録時に監督当局へ報告済みで、今後も当局のモニタリングを受けて適切性を確認していく。


任意自動車保険は外部専門業者に委託

任意自動車保険については扱わず、ほけんの窓口グループが運営する店舗併設の専用ブースで複数保険会社の商品から相談できる体制を取る。WECARSが担う自動車販売、車両の入庫、修理・車検などの業務と、ほけんの窓口が担う任意保険の相談業務を明確に切り分け、利益相反を防ぐ狙いである。「過去に業界において顕在化した課題とその教訓を生かし、透明性の高い保険募集体制とお客様本位の業務運営を徹底する」。


信頼回復への試金石となる今後の展開と取り扱い概要

事実として確認できるのは、WECARSが保険募集部門を販売・車検部門から組織的に切り離し、損害保険の中でも修理と結びつきやすい任意保険の相談を外部の専門事業者に委ねたということである。
旧BMの不正が修理費の水増しによる保険金請求だったことを踏まえると、整備・鈑金と保険の間にどう線を引くかが同社の信頼回復を測る一つの物差しになると見られる。今回は自賠責保険に限った取扱いであり、5店舗からの段階的な開始という慎重な進め方である。今後の対象店舗の拡大や、三線管理体制が実際にどう機能するかが注視される。

取扱概要は以下の通り。

・取扱保険:自動車損害賠償責任保険
・損害保険会社:AIG損害保険株式会社
・取扱開始日:2026年12月1日
・取扱店舗:多摩店、鴻巣店、熊谷店、つくば店、千葉店(順次拡大予定)

詳細は同社からのプレスリリース及び会社情報ページで確認できる。