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国土交通省が外国人材の自動車整備における「育成就労制度」の運用要領を公表、工場の淘汰と集約をさらに加速させうる

公表された運用要領から「自動車整備」及び「車体整備(鈑金塗装)」に関する規定を抜粋し、新制度への移行が現場や経営に与える影響を解説

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2026/07/24

 外国人材の新たな受け入れ制度である「育成就労制度」。国土交通省より7月21日、自動車整備分野の特定の分野に係る運用要領が公表された。人手不足に悩む自動車アフターマーケットにおいて、継続的な人材確保は喫緊の課題である。


参考資料:国土交通省「特定の分野に係る育成就労制度運用要領-自動車整備分野の基準について-


技能実習制度からの脱却と車体整備区分を明確化

 過去数十年に渡って活用されてきた「技能実習制度」は、表面上の国際貢献と実態としての労働力不足を補う手段の乖離が拭い切れなかった。結果、現場で充分な技術が伝えられず、キャリアパスの不透明さなどが課題であった。

 一方「育成就労制度」では、過去の教訓を踏まえ、明確なキャリア形成と体系的な技能修得を目的としている。自動車整備分野においては、「自動車整備」と「車体整備」の2つの業務区分が設定された。特に、鈑金塗装事業者が該当する車体整備区分では、従事する業務が「車体の板金、塗装、ボデー・フレームの修正及びこれらに付随する特定整備の基礎的な業務」と明確に定義されている。

 外国人が従事する業務として「特定整備」が明記されたことは、同制度が現代のASV修理への技術要件を反映しようとしているとも読める。運用要領において、車体整備区分に「特定整備の基礎的な業務」が組み込まれ、外国人材に対しても最新の電子制御デバイスに触れる実務経験を積ませ、技術者として育成するという方針だろう。


指導員に求められる高いハードルと
事実上の壁

 運用要領の中で注目したいのは「育成就労指導員」の要件である。車体整備区分において外国人材を受け入れる場合、指導員は以下のいずれかに該当する者でなければならないと規定された。

・自動車車体・電子制御装置整備士の技能検定合格者
・自動車車体整備士の技能検定合格者(経過措置による)


 現場では技術者の高齢化が止まらない。自動車整備士の平均年齢は46歳を超えており、第一線で活躍する熟練技術者であっても、最新の電子制御装置に関する資格取得が追いついていないケースは少なくない。

 質の高い人材育成を担保し、過去の制度における技術指導の形骸化を防ぐためには、指導者側に高度な国家資格を求めるのは納得である。
 しかしこの要件は、有資格者がおらず人手不足に苦しむ小規模な鈑金塗装工場にとって、外国人材受け入れの事実上の障壁となる。労働力が不足する中で新たな人材を迎え入れるためには、まず既存の日本人技術者の再教育と新たな資格取得への投資は避けられないだろう。


人材育成への投資が事業存続の分水嶺に

 また、受け入れ事業所(育成就労実施者)の設備基準として、自動車整備区分においては限定認証は認められないが、いずれの区分においても認証工場であることが必須となる。これは、無認証で行われるグレーな分解整備を排除し、コンプライアンスに沿った適切な設備投資を行っている企業のみに人材供給を絞り込む意図が見える。

 過去制度での人手不足を安価な労働力で補うという認識は古く、新たな制度下では、特定整備認証の取得や車体・電子制御装置整備士を取得した指導者の育成に着手できる工場のみが、外国人材というリソースにアクセスできる仕組みとなっている。

 結果として、自動車アフターマーケットにおける工場の淘汰と集約が加速することが予想される。外国人材の受け入れは、単なる欠員補充ではなく、工場の技術力やコンプライアンス意識、経営体質を根本から見直す試金石とされるのだろうか。


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