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中小企業庁、「小規模事業者の『稼ぐ力』の強化に向けた諸課題に関する検討会」の中間とりまとめを公表

経営発達支援事業の施策体系再構築や「成長志向の経営計画(仮称)」の宣言仕組み整備など方針示す

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2026/05/27

 中小企業庁は、2026年2月から「小規模事業者の『稼ぐ力』の強化に向けた諸課題に関する検討会」を開催し、今後の政策の方向性について議論を重ねてきた。


 今般、同検討会のこれまでの議論をとりまとめ、「中間とりまとめ」として公表した。

 同検討会は成城大学教授の後藤康雄氏を委員長とし、2026年2月から3月にかけて計4回にわたり検討が行われたものである。


背景と趣旨

 2025年3月に小規模企業振興基本計画(第III期)が閣議決定された。同計画では、全国で285万社の小規模事業者においても賃上げの好循環を実現するために、経営力を向上させ、これまで以上に「稼ぐ力」を高めることや、その小規模事業者を支える支援体制を強化することなど、支援の充実を図ることとしている。


 当該基本計画を踏まえ、小規模事業者の「稼ぐ力」の強化をテーマとし、小規模事業者の現状を把握した上で、小規模事業者の経営の方向性を踏まえつつ同計画に掲げられる各施策の深掘りにつなげることを目的として同検討会が設置され、検討の成果がとりまとめられた。


中間とりまとめの概要

 本検討会の中間とりまとめでは、小規模事業者の現状や課題を踏まえ、具体的な施策の方向性についてとりまとめている。

施策の方向性

 これまで「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律(小規模事業者支援法)」に基づく経営発達支援事業として、小規模事業者への伴走支援等に取り組んできた。今後、より一層きめ細やかに対応するため、「地域を支え持続的発展及び賃上げを目指す事業者への支援」に加え、「成長志向の事業者の創出メカニズム」や「エッセンシャル・サービスを担う事業者への支援」に向けた取組を検討し、経営発達支援事業における施策体系の再構築を進める。

 これらの取組を支える観点から、商工会・商工会議所の経営指導員等の支援機能の強化が必要となるため、広域連携や支援機関間連携に加え、支援実績の評価・優良事例PR・都道府県への支援充実に向けた働きかけを促進する。あわせて、経営指導員の能力向上に向けた研修の充実や業務効率化、専門家等によるサポートの強化、AIを活用したノウハウ・知見の共有の仕組みの検証などを推進する。


 各施策の方向性は以下の4つの項目により整理し、示されている。

1.成長志向の小規模事業者を創出するメカニズムの構築

 成長志向の小規模事業者の挑戦と経営改革を促すべく、小規模事業者支援法に基づく経営発達支援事業として、商工会・商工会議所の経営指導員による伴走支援を通じた高度な経営力を有する成長志向の事業者の創出メカニズムの構築に向けた検討を進める。


 具体的には、経営管理能力の高度化と経営改革を図るために経営指導員による伴走支援を必須とし、既存事業の改善に留まらない成長の核となる事業価値の確立を前提に、売上規模の拡大や高収益型を目指す「成長志向の経営計画(仮称)」を“宣言”する仕組みを構築する。 また、“宣言”事業者の挑戦的取組に対する補助金等の優先措置の導入や、将来的なプロパー融資の増加を見据えた地域金融機関との連携促進、経営指導員等による民間融資へのつなぎ・協調融資の推進、マル経融資の優先適用などを検討する。

 なお、対象となる小規模事業者の規模として、売上1,000万円〜1億円未満が約140万者、売上1,000万円未満が約140万者存在している。


2.持続的発展及び賃上げを目指す小規模事業者への経営管理能力の高度化に向けた支援強化

 地域を支える小規模事業者においても持続的発展及び賃上げを目指すためには「稼ぐ力」を高める必要があり、経営計画や資金繰り表などの策定を通じて、原価や収益、資金繰りの把握等の基礎的な経営リテラシーの向上や経営管理能力の高度化を図ることが重要となる。これらを促すため、これまでの持続化補助金申請時の経営計画策定に加え、プッシュ型による小規模事業者への働きかけの強化や商工会・商工会議所の青年部・女性部といった「扶け合い・学び合いの場」の機会の活用の促進に取り組む。


 経営計画の策定・管理・実行にあたっては、現状把握・分析、戦略・計画策定、実行管理の各フェーズで経営指導員が都度サポートする。 また、人手不足対応や生産性向上の観点で事業者間での扶け合いや協業は重要な取組であり、特に地域内での事業引継ぎはエッセンシャルサービス(ES)維持の観点からも有効な取組であるため、商工会・商工会議所のハブ機能やネットワークを活かして実行に繋げていく。


 小売業等のESを担う小規模事業者の事業継続に向け、産業競争力強化法改正法案の枠組みを活用しつつ、小規模事業者支援法に基づく経営発達支援事業において認定ES支援機関としてES提供事業者への重点的な支援を位置づけ、常駐型の専門家派遣を可能とする措置や認定された事業者への補助金の優先措置の検討、都道府県や市町村も巻き込んだ支援体制の構築を図る。

3.小規模事業者を支える商工会・商工会議所による支援機能強化

 小規模事業者の経営リテラシー向上のためには伴走支援を行う支援者のリテラシー向上が重要であるが、業務負荷の上昇やOJT機会の減少、実践的な研修コンテンツの不足といった課題がある。そのため、中小企業大学校や商工会・商工会議所の研修(合宿型、出張・連携型、都市型、オンライン活用など)による体系的学習という強みを活かしつつ、実践的なナレッジの習得に向けて民間オンライン学習サービスが連携・補完して対応することについて具体的な検討を進める。


 また、支援リソースを最適化しつつ支援機能の強化を行うため、複数の商工会・商工会議所を包含する広域支援体制(広域経営指導員)の普及や、複数の支援機関や地域金融機関等との連携強化を進める。地方公共団体のリードのもとでプッシュ型伴走支援の取組を促進し、モデル事業を全国展開する。さらに、専門家等によるサポートの強化、生成AIの活用、指導ノウハウ・知見の共有の仕組みの構築による業務効率化を推進するほか、商工会・商工会議所や経営指導員の意欲向上のため、優良事例PRの推進、活動状況の評価・スコアリングの仕組み、都道府県に対する働きかけなどを促進する。

4.施策方針の制度的位置づけの明確化・支援効果等の把握

 今回示された施策方針に基づく支援が行われるために、小規模事業者支援法における基本指針を改訂し支援方針を明確化することで、各商工会・商工会議所における経営発達支援事業の実行において反映する。


 また、小規模事業者支援法に基づく経営発達支援計画の実施状況報告の枠組みを活用して伴走支援の効果(支援した事業者の売上・粗利・従業員数等の複数年間の状況)や各施策に係る支援件数を把握し、それらに基づいた評価・スコアリングの仕組みの検討を進める。さらに、経営発達支援事業の成果報告や統計などを通じて関係データの蓄積を進め、今後の小規模事業者支援施策に係る指標の設定に向けて研究を深め、意欲向上策の検討を進めていく。


 中小企業庁は本検討会の中間とりまとめを受け、今後、必要な措置や施策の具体化を進めていくとしている。