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レベル4の完全自動運転車両、遂に発売か。米AI企業テンサー、個人所有のレベル4自動運転車「ロボカー」を発表

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2025/08/20

来年にはいよいよレベル4の自動運転車が個人所有できる記念すべき年になるかもしれない。日本への進出は未定だが、今後が気になるところだ

米国のAI企業テンサーは、世界で初めて個人が所有できる完全自動運転車「テンサー・ロボカー」を発表した。従来の自動運転技術がロボタクシーなどのフリートサービス向けに開発されてきたのに対し、この車両は「個人が自律性を所有する」というコンセプトのもと、ゼロから設計されている。納車は2026年後半から、アメリカ、ヨーロッパ、アラブ首長国連邦(UAE)の市場で開始される予定だ。

ロボカーは、特定の承認済み区域内であれば、運転手の監視なしで完全なレベル4の自動運転が可能。区域外では、運転手が手動運転または運転支援機能を利用できる。車両の骨格は、2つの高精度ダイキャスト部品から構成され、軽量でありながら高い剛性を実現している。外装は滑らかな液体金属をイメージし、センサーが統合されたゾーンが組み込まれたデザインで、AIの視覚を最適化するよう工夫されている。

車両には、100個以上のセンサーが搭載されている。高性能のLiDAR5基、超高解像度カメラ17台、Tri-novaハイパーレーダー6基、外部マイク4基など。これらのセンサーには、ミニワイパーや格納式ノズル、超高圧ポンプを備えた自己清掃システムが搭載されており、センサーの性能を常にクリアに保つ。

車載スーパーコンピューターは、自動車用途として強力な8,000 TOPS以上のGPU性能を誇り、10個のGPUと144個のCPUコアを搭載。毎秒53ギガビット以上のセンサーデータを処理する。

これまで、レベル4自動運転は特定地域でのフリート運用(企業や団体が所有する)が主流だった。ホンダのレジェンドが限定的ながらレベル3を実現したものの、一般ユーザーへの販売は実現しなかった。テンサーの今回の発表は、自動運転技術の社会実装を、業務用から個人向けへと一気に加速させるものとして、業界に大きな衝撃を与えている。価格は未発表だが、可処分所得の高いアーリーアダプター層からの関心を集めることは必至だろう。