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国交省、第32回「自動車整備技術の高度化検討会」を開催(前編)

整備マニュアルと純正スキャンツールの提供に関する「令和7年度困りごと調査」の結果を報告

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2026/03/23

 国土交通省(国交省)は2026年3月19日、第32回「自動車整備技術の高度化検討会」をAP東京八重洲(東京都港中央区)で開催した。


 事務局は国交省物流・自動車局自動車整備課(整備課)、座長は須田義大氏(東京工科大学 片柳研究所 未来モビリティ研究センター長)。委員として参加している団体は日本自動車工業会(自工会)、日本自動車輸入組合(JAIA)、日本自動車整備振興会連合会(日整連)、日本自動車車体整備協同組合連合会(日車協連)、日本自動車機械器具工業会(自機工)、日本自動車機械工具協会(機工協)、全国自動車大学校・整備専門学校協会(JAMCA)、全国自動車短期大学協会(JAECA)、自動車技術総合機構(機構)、軽自動車検査協会(軽検協)。


 国交省の多田善隆整備課長は冒頭の挨拶で、「第1回の高度化検討会が2011年に開催されてからすでに15年経過しているが、その間にも自動車ますます高度化している。そうした高度な自動車を整備するにはスキャンツールの高度化と整備人材の確保、また外国人材の受け入れをどうすべきかを議論していただきたい。全国どこでも受けられる自動車整備のネットワークを整えることが国民の安全安心や利便性につながり、制度の根幹にも関わるので、引き続きご検討いただきたい」と述べ、参加する委員に闊達な議論を促した。

国交省の多田善隆整備課長

 その後、整備マニュアルと純正スキャンツールの提供義務に関する実態調査として、国産車と輸入車に分けて、2025年7月31日より12月14日まで行われた「令和7年度困りごと調査」の結果が、国交省整備課の林健一指導官より報告された。概要は下図の通り。

「令和7年度困りごと調査」の概要

 国産車の整備マニュアルついては、国産車のものは日整連が管理する「FAINES」を通じて提供されているものの、「『整備情報がFAINESに登録されていない車種がある』というコメントが古いクルマを中心に多く、またマニュアルの標準化を求める声があった」(林指導官)と報告。


 これについて日整連の根本正之委員は、「FAINESには2004年以降の車種の整備情報が掲載されているが、『販売台数の多かったクルマは古くても載せてほしい』という声を以前よりいただいているので、2000年頃以降の販売台数が多い車種の整備情報は掲載している。だが2004年より前の車種は自動車メーカーの方で整備情報がデータ化されていないものが多く、紙面をスキャンしているのが現状。これはまさに今、マルチブラウザ対応のデータをご提供いただくよう、自動車メーカーと調整を進めているので、近いうちに改善できる」との見通しを示している。


 同じく純正スキャンツールについては、「特殊な要件を求められるため入手は困難」「維持費が高額なため保有が現実的ではない「汎用スキャンツールではできない作業がある」という声が一定数あったことを報告。


 これら困りごとの内容については、「今後関係団体にも共有するとともに、純正スキャンツールの提供状況を把握する窓口を設置して、適切な指導につなげる」方針を掲げた。

「令和7年度お困りごと調査」国産車の困りごと調査結果

 FAINESに情報が登録されていない輸入車の整備マニュアルについては、「そもそも入手窓口が分からず、ディーラーに頼んでも分からなかったという声が多く、FAINESへの掲載を希望する声や、必要な情報だけでも開示してほしいという声もあった」。


 輸入車の純正スキャンツールについては、「維持費が高額、入手のための審査が通らないといったことに加え、整備マニュアルが入手できないとスキャンツールが使えないという声もあった」ことを報告した。

「令和7年度お困りごと調査」輸入車の困りごと調査結果

 こうした現状を受けて林指導官は、「整備マニュアルの入手方法はJAIAのwebサイト(https://www.jaia-jp.org/ja/member/obd-list/) に掲載しているが、簡単な説明のみで、『(メーカー名)整備マニュアル』といった検索ではヒットしづらい。検索でヒットしやすい状況に持って行くことが重要」と指摘。

  • 各社のwebサイトにも掲載
  • 手続の流れを具体化し、分かりやすいよう図を添付
  • 提供の条件や価格を掲載
  • 検索時にヒットしやすいよう「整備マニュアル」などの言葉を使う

などの改善案を提示している。

整備マニュアルの提供に関する対応策

 また純正スキャンツールについては、情報提供フォームを設置。

  • 自動車メーカーの名称
  • 提供にあたり連絡した窓口
  • 提供を拒否された、入手が困難である内容の詳細
  • 入手が困難であると考えた理由

などの項目を設定し、「具体的な事実が示される場合と、そういった事実はなく『自分はそう考えた』という主観的な場合もあることを想定し、情報提供しやすくすることで、より具体的な困りごと、課題を見つけていく」(林指導官)案を提示した。


 これに対し自工会の阿部徹委員は、「結果だけでは何がどこで発生し、どんな会話がされたか、我々の何が悪かったかを把握できないが、具体的な内容が分かれば解決に向かうので、ぜひお願いしたい」と応じている。

純正スキャンツールの提供に関する対応策


<続く>

(文・写真=遠藤正賢 図=国土交通省)