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国交省、第32回「自動車整備技術の高度化検討会」を開催(後編)

「標準仕様の汎用スキャンツール」に用いる整備情報を一元管理する第三者機関を自動車技術総合機構に決定

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2026/03/23

 国土交通省(国交省)は2026年3月19日、第32回「自動車整備技術の高度化検討会」をAP東京八重洲(東京都港中央区)で開催した。


 事務局は国交省物流・自動車局自動車整備課(整備課)、座長は須田義大氏(東京工科大学 片柳研究所 未来モビリティ研究センター長)。委員として参加している団体は日本自動車工業会(自工会)、日本自動車輸入組合(JAIA)、日本自動車整備振興会連合会(日整連)、日本自動車車体整備協同組合連合会(日車協連)、日本自動車機械器具工業会(自機工)、日本自動車機械工具協会(機工協)、全国自動車大学校・整備専門学校協会(JAMCA)、全国自動車短期大学協会(JAECA)、自動車技術総合機構(機構)、軽自動車検査協会(軽検協)。

第32回「自動車整備技術の高度化検討会」の様子

 今回の第32回検討会では、「標準仕様のあり方検討ワーキンググループ」で検討されている、スキャンツールの機能拡充に向けた取り組みについても報告。


「標準仕様の汎用スキャンツール」(標準機)の開発に用いる自動車メーカー正規の技術情報を一元的に購入・管理しスキャンツールメーカーに有償提供する第三者機関を、機構に決定。高度なサイバーセキュリティが求められない基礎OBD情報の提供を2026年夏より開始するとともに、標準機を政府が認定する制度を創設する計画が説明された。

「標準仕様の汎用スキャンツール」開発促進新スキームの概要

 また、標準機の普及まで多くの期間を要することから、同時並行で進める純正スキャンツールの活用拡大については、純正スキャンツールを用いたOBD検査対象国産車の点検整備外注を請け負う「駆け込み寺」を同年8月より、純正スキャンツールの短期貸出サービスを2026年度以降、いずれも運輸支局単位で全国3地域において試験運用開始する方針を示している。

純正スキャンツールの活用拡大策試験導入の概要

 なお、2025年12月~2026年1月頃に実施予定だったパブリックコメントについては、国交省整備課の林健一指導官は「まだ実施できる状況にないため、決まり次第お知らせする」と述べるに留めている。

スキャンツールの機能拡充スケジュール(案)

 加えて、短期および中長期の自動車整備人材確保に向けた取り組みの方針が説明された。


 今後取り組むべき方向性として、

  1. 自動車整備業のイメージアップ
  2. 整備士の認知向上・体験する機会の提供
  3. 整備士の処遇改善

の3つに整理するとともに、それぞれの調査・検討事項のターゲットを、

  1. 未就業者の保護者を含む世間一般
  2. これから整備士になり得る就学前の児童から大学・専門学校生まで
  3. 現役の整備要員および、一度業界から離れてしまったが戻ってもらえる可能性のある潜在整備士

に設定。整備事業者、整備士、教育機関などに調査し、2026年度中に対応策を「自動車整備の高度化に対応する人材確保に係るワーキンググループ」で議論することとしている。

自動車整備人材確保に向けた取り組みの方向性および設定ターゲット

 外国人材についてはさらに、その整備士と雇用する整備事業者双方の、外国人材特有の不安を払拭し課題を解決すべく、外国人材や監理団体、整備事業者を対象に調査し、2026年度中に対応策を検討する計画。

外国人材の受け入れ環境整備に関する方向性および設定ターゲット

 加えて、日本での経験が浅く漢字の習熟が難しい外国人留学生に配慮し、2級(総合)および3級(総合)の自動車整備士技能検定において、全ての漢字にルビを付与。新制度の試験が開始される2027年3月より実施することを決定した。


 なお、1級整備士試験については最上級に位置付けられ、現場でカーオーナー向けの点検整備記録簿などを作成することや、整備士同士のコミュニケーションも求められることから、引き続き議論を行うこととされている。


 JAMCAの本廣好枝委員は、「長年要望していた整備士試験問題へのルビ振りがようやく実現することを大変嬉しく思っている。なお資料には外国人の受験状況が2級:18%と記載されているが、この数字はまだまだ大幅に増えていくと捉えている。2026年4月の入学者においても、私どもの学校では留学者が半数を超える」と、謝意を述べるとともに実態を説明。


 人材確保の取り組みについても、「我々は日本人に対しては小学生から対象としており、非常に足が長い活動になるので、早い段階でアクションをしてほしい。また、認知向上や処遇改善については、外部の専門家やメディアを活用して、『整備士はいい仕事、楽しそう』と思えるような発信をしてほしい」と要望した。


 JAECAの長谷川達也委員も、「短期大学でも同じような状況で、我々の学校では2級整備士受験者のうち留学生が6割を超えており、今後ますます増えることを実感している。ただ、企業の努力もあり給料がアップしているので、短期大学への入学者数も増えることを期待している」とコメントしている。

自動車整備士技能検定におけるルビ付与の概要

 2026年度の同検討会は、同年秋と年度末の2回開催。なお「標準仕様のあり方検討ワーキンググループ」は頻度を高く設定して毎月、「自動車整備の高度化に対応する人材確保に係るワーキンググループ」は3回、開催される見込み。

「自動車整備技術の高度化検討会」2026年度のスケジュール

(文・写真=遠藤正賢 図=国土交通省)