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「1ヶ月ですぐ働きに行ける台湾にする」ベトナムの若者が日本を避ける本当の理由

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2026/11/02

 日本の労働市場を支えてきたベトナム人労働者の間で、深刻な「日本離れ」が起きている。かつては一つの求人枠に7人から8人の応募があったが、現在ではわずか2人にまで激減。ハノイ市に拠点を置く人材派遣会社の証言からは、もはや日本が「選ばれる国」ではなくなった厳しい現実が浮かび上がっている。


求人1枠に2人しか来ない


 ハノイの人材派遣会社によると、現場の状況は極めて深刻である。一つの求人枠に対して応募者が2人しか集まらないため、選考は実質的に機能しておらず、「来たら即採用」という状態に陥っている。日本側からは年間600件を超える求人が寄せられるものの、人材の供給が60%も減少し、農村部をくまなく探しても必要数の10%しか確保できないという。この人材不足は、日本が長年依存してきた安価な労働力の供給モデルが崩壊しつつあることを示している。


わざわざ日本に行く経済的メリット消滅


 応募者激減の背景には、経済的な魅力の低下が大きく影響している。ベトナム国内の経済発展により、土木作業でも月に2000万ドン(約12万〜13万円)を稼ぐことが可能になった。これにより、わざわざ日本へ出稼ぎに行く経済的なメリットは失われつつある。田舎の若者たちは、海外ではなくベトナム国内の都市部での就労を選ぶようになっている。


 さらに、記録的な円安が追い打ちをかける。かつて1円が220ドンだった為替レートは160ドン台まで下落。これにより、日本で稼いだ1万円をベトナムドンに両替すると、以前に比べて40万〜60万ドンも目減りしてしまう計算になる。賃金水準と為替の両面で、日本の魅力は大きく損なわれた。

1ヶ月ですぐ働きに行ける台湾にする


 経済的な要因に加え、日本の厳格な条件も若者離れを加速させている。一部の日本企業は「半年間日本語を勉強しろ」といった条件を課す。これに対しベトナムの若者からは、「半年も待たされるなら、1ヶ月ですぐに働きに行ける台湾にする」という声が上がっており、より条件が緩やかで迅速に就労できる国へ人材が流出している。


 実際に、企業がベトナムの農村部や国境地域で求職者との面談会を開催しても、参加者の大半は高齢者や中年の女性になってしまっているという。

労働市場の構造転換か、新たな依存か


 2027年から導入される新制度「育成就労」は、さらに条件が厳しくなると見られており、現地の派遣会社からは「もう終わりだねこの国」と絶望的な声も漏れる。この状況は、安易な低賃金労働者に頼ってきた「ゾンビ企業」が淘汰され、日本の労働市場が健全化する契機になるとの見方もある。外国人への補助金や優遇をやめ、その分を日本人の賃上げや雇用環境の改善に回すべきだという意見も根強い。


 しかし一方で、技能実習を3年修了したベトナム人が特定技能へ移行する際に、会社や組合から何のサポートも受けられないという相談も寄せられている。支援を受けられずに犯罪に手を染めてしまうケースも少なくないだろうと懸念される。また、絶対に賃金を上げたくない企業が、ベトナムよりさらに治安の悪い国から労働者を呼び寄せようとする可能性も指摘されており、日本の外国人労働者問題は新たな局面を迎えようとしている。