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国交省、第29回「自動車整備技術の高度化検討会」を開催(前編)

標準仕様の汎用スキャンツール機能強化に向け「OBD情報」提供スキームを抜本的に見直し、リバースエンジニアリング機を段階的に縮小

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2025/03/31

 国土交通省(国交省)は2025年3月21日、第29回「自動車整備技術の高度化検討会」をAP東京八重洲(東京都中央区)で開催した。


 事務局は国交省物流・自動車局自動車整備課、座長は須田義大教授(東京大学生産技術研究所)。委員として参加している団体は日本自動車工業会(自工会)、日本自動車輸入組合(JAIA)、日本自動車整備振興会連合会(日整連)、日本自動車車体整備協同組合連合会(日車協連)、日本自動車機械器具工業会(自機工)、日本自動車機械工具協会(機工協)、全国自動車大学校・整備専門学校協会(JAMCA)、全国自動車短期大学協会(JAECA)、自動車技術総合機構(機構)、軽自動車検査協会(軽検協)。


 国交省物流・自動車局自動車整備課の多田善隆課長は冒頭の挨拶で、「今、自動車整備業界では、2つの大きな課題に直面している。一つが新技術への対応、もう一つが人材確保。こういった観点から、本日は専業工場が使用するスキャンツールの機能向上と、人材確保のため『自動車整備士等の働きやすい・働きがいのある職場づくりに向けたガイドライン』のアップデートを中心に議論していただきたい」と、今回の議題を説明。


「難しい問題もたくさんあるが、関係者が連携して解決に取り組み、国交省自動車整備課の最重要課題である『全国どこでも自動車の点検整備・車検を受けられる』環境を維持していきたい。民間の経済活動という側面があることは理解しているものの、その土台は車検整備の制度であることをご理解いただき、ぜひ前向きな議論をしてほしい」と、その意義を述べた。

国交省物流・自動車局自動車整備課の多田善隆課長

 その後、2024年12月開催の第1回「OBD検査モニタリング会合」でも方針が示されていた、標準仕様の汎用スキャンツール機能強化と、そのために必要な情報提供ルール見直しについて議論した。

純正スキャンツールと汎用スキャンツールの違い

 2021年1月にUN-155(国際連合・サイバーセキュリティシステムに係る協定規則)が発効したことを契機に、セキュリティゲートウェイ(SGW)が各車両に搭載されるようになっている。


 その結果、スキャンツールを用いて車載各ECUへアクセスする際、カーメーカーのサーバーを通じたスキャンツール使用者の認証や、暗号鍵を用いた作業管理などが求められるため、汎用スキャンツールでは車載ECUにアクセスできず実施できない作業が増大している。

SGW追加によるスキャンツールを用いた点検整備への影響イメージ図

 一方でディーラーにおいても整備士不足と働き方改革によって受入能力の限界を迎えつつあり、専業整備工場がディーラーへ作業を依頼しても納期が長いまたは対応してもらえないといった問題が顕在化しつつある。

ディーラーと専業整備工場の現状

 また、認証・指定工場を対象にした整備情報及びスキャンツールに関する困りごとのwebアンケート調査を2024年9~12月に実施したところ、前述の問題に加え、輸入車や大型車を中心に入手しにくい整備情報があること、またスキャンツールおよびエーミング機材の購入・更新費用に関する問題も、詳細かつ多く寄せられた。

「令和6年度整備技術の高度化に係る困りごと調査」現在の困りごとに関する調査結果概要

「令和6年度整備技術の高度化に係る困りごと調査」今後予想される困りごとの調査結果概要

 こうした現状を受け、汎用スキャンツールの抜本的機能強化を図るとともに、整備情報の提供方法見直しを検討することとした。


 また、カーメーカーが保有する「OBD情報」をベースとする標準機が、契約が複雑かつ高額といった問題からほとんど開発されていない実態を踏まえ、公的な第三者機関が「OBD情報」を一元的に購入・管理し、一定の要件を満たすスキャンツールメーカーへ有償提供する新たなスキームを構築。


 標準機が純正機と同様にサーバー認証を受けSGWを通過できる枠組みを作る方針が示され、大筋合意を得た。


 なおこれに伴い、リバースエンジニアリングを含む標準機はその旨を宣言することとし、かつ政府は標準機の普及に応じて、スキャンツール補助金の対象から除外する、標準機以外は認証しない、といった策を講じ、リバースエンジニアリング機を段階的に縮小する方針を示している。

「OBD情報」提供スキームの現状と新スキーム案の概略図

 そのほかを含む、新スキーム案に関する詳細は以下の通り。

新スキームで提供する「OBD情報」の対象型式・範囲など

新スキームにおける第三者機関の役割

新スキームにおけるリバースエンジニアリング機の扱い、「OBD情報」に関する責任の所在、サーバー接続が必要な場合の対応方法など

新スキームにおける「OBD情報」の取り扱いについて

新スキームにおける自動車メーカーのサイバーセキュリティ/ソフトウェアアップデートマネジメントシステムの取り扱い、「OBD情報」の購入・提供料金について

新スキームにおける標準機のユーザー認証の仕組み案、今後の施行スケジュール

後編に続く



(文・写真=遠藤正賢 図=国土交通省)