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車の部品代って、徐々に高くなるって本当?
事故車修理の見積りソフトウェアメーカーが調べてみた
2025/04/22
車体整備業界に身を置いていると、友人知人からよく尋ねられる。「車は新車登録から年々価値が下がる一方で、修理の部品代は高くなると聞く。そうすると、ちょっとした故障や損傷でも、車の価値よりも修理費用の方が高くなってしまうのではないか?」と。
しかし、補修部品の値段が発売当初からどれくらい上がっているのかを正確に把握している人は、プロでも少ないのではないだろうか。そこで、事故車修理の見積もりソフトを開発・販売する当社が、過去のデータを遡って確認してみた。
サンプルに選んだのは、先代のホンダ・N-BOX(JF3・4系)。2017年に発売を開始し、2023年まで販売されていた車両だ。現行モデルではなくなってから2年ほどになる。部品は、損傷しやすい前後のバンパー、ヘッドランプ(前照灯)、リヤコンビネーションランプ(尾灯)を選んだ。N-BOXを選んだ理由は、販売台数が多いためである。
結果は以下の通りとなった。
- ヘッドランプ 23.43%上昇
- フロントバンパー 20.05%上昇
- リヤバンパー 49.85%上昇
- リヤコンビネーションランプ 49.47%上昇
値上げは一律ではなく、時期も価格も部品ごとにばらつきがある。結果として、部品価格は年数の経過とともに上昇傾向にあることが調査対象から分かった。ただし、「現行モデルではなくなると値段が上がる」とは一概には言えない部分もある。
例えば、ヘッドランプなどは、2023年から上昇し続けているが、実は2023年に代替部品が設定され、新しい品番が登場している。製造メーカーが変更になった場合などに発生する現象だ。代替部品のヘッドランプの価格は52,500円で、元のヘッドランプの価格と変わらなかった。最初の部品もまだ在庫があったと見られ、代替部品の品番に完全に置き換わったのが2025年4月のデータだったりする。
ちなみに、「どんな部品から製造廃止になるのか」と聞かれることが多いが、私の経験から言うと、交換頻度が少ない部品、たとえばスイッチ類などは比較的早い段階で製造廃止になる印象がある。
これからの車両は、OBD検査を受ける必要があるため、自動ブレーキシステム周辺の制御コンピューターやセンサーが手に入らなくなると車検に通らなくなる。
今までは、経済的な理由で車の乗り換えを選択するケースが多かったが、今後は、電子制御装置周辺の部品が入手困難になることで、車を手放さざるを得なくなるケースも出てくるかもしれないと考えている。