JOURNAL 

マックメカニクスツールズ、伊CEBORA社溶接機をラインアップへ

大手ハンドツールサプライヤーが描く、アフターマーケット向けワンストップサービス

  • #インタビュー

2026/05/27

 今度、プレミアム・カーケア・ジャパンがイタリアの溶接機メーカー・CEBORA(チェボラ)社との提携を開始した。そして、プレミアム・カーケア・ジャパンのグループ企業であるマックメカニクスツールズでもその取り扱いを開始する。ハンドツールブランドとして長年、市場の支持を集めてきた同社の鈑金塗装業界へ向けた新たなアプローチだ。これを機にアフターマーケット全体へのワンストップサービスの実現を目指す、同社の代表取締役 清水正喜氏と企画部 藤原尚氏に、新戦略の狙いと今後の展望について聞いた。


マックメカニクスツールズ プレミアム・カーケア・ジャパン PTS 代表取締役 CEO 清水 正喜氏 ( 左 )、マックメカニクスツールズ 企画部 商品企画 藤原 尚氏

―なぜ、このタイミングでチェボラ社との提携を決めたのか

 我々はこれまで、6万点以上のアイテムを取り扱う中で、自動車整備のユーザーからバンセーラーや代理店を通じて鈑金塗装工場の要望を吸い上げてきた。その際、溶接機についての問い合わせが多く、また当社でカバーできていないマーケットでもあった。

 チェボラ社とは、当社のエイミングツールのパートナーであるイタリア・テクサ社との市場調査の中で、同社の溶接機ソリューションと出会い、提携を開始した。同社は欧州カーメーカー各社から型式認証を得ており、溶接の質が修理後のボデーの強度に直結することを知り尽くしている。また、我々が大切にしている現場での使いやすさ、ユーザーインターフェースにおいても、複雑な設定を直感的に行える操作性を備えており、当社のブランドコンセプトとも合致している。

―鈑金塗装業界の現状をどう見ているか

 現在の鈑金塗装業界は、複数の大きな課題に直面している。第一に、作業の高度化だ。自動車には新素材が次々と採用されており、それらに対応する技術が不可欠となっている。

 第二に、深刻な人材不足、特に熟練した職人の不足が挙げられる。従来の鈑金塗装、とりわけ溶接作業は、長年の経験と勘がものをいう世界だった。しかし、その技術を継承する若手が育ちにくいという構造的な問題を抱えている。この二つの課題は密接に絡み合っており、業界全体の成長を阻害する要因となりかねない。作業者の熟練度にかかわらず、常に一定の品質を担保できる環境をいかに構築するかが鈑金塗装業界の今後の課題だと考えている。

―現況の課題に対してチェボラ社の溶接機ではどのように解消できるか

 我々が導入するチェボラ社製品の最大の強みは、デジタル技術による作業の自動化と標準化だ。特に、システムの根幹をなす機能として、使用するワイヤの種類、母材、板厚を設定するだけで、機械が最適な電流と電圧をリアルタイムに自動調整してくれる。この機能は、ボローニャ大学などとの産官共同研究によって蓄積された膨大なデータに基づいている。

 これにより、従来は熟練工の経験とテクニックに頼らざるを得なかった高度な溶接作業が、経験の浅い作業者でも高い品質で再現可能になる。結果として、やり直しがほぼなくなり、二重三重にかかっていた時間的コストを大幅に削減できる。これは、業界が抱える「作業の高度化」と「人材不足」という二つの課題を、同時に解決する。


チェボラ社製溶接機は搭載されたデジタル制御システムで、電流・電圧・ワイヤ送給を最適化する

―機材のトレーニング体制について

 チェボラ社の溶接機をはじめ、昨年当社にグループ入りしたPTS(ピーティーエス)が扱う、イタリア・ネクソン社製のタイヤチェンジャー、バランサー、リフトなどの整備機器を包括するトレーニングセンターを年度内に千葉県佐倉市に開設する計画だ。

 ここでは当社社員や代理店はもちろん、既存のユーザーや、さらに技術を磨きたいと考えている人まで、幅広く受け入れる。座学から実機を使ったトレーニングまで、一貫した教育プログラムを提供する。このセンターを将来的に大阪、札幌、仙台、名古屋、福岡といった主要都市にも設け、2年がかりで全国をカバーできる体制を整える。

―販売方法とメンテナンス体制はどのような方針を考えているか

 従来通り、我々のバンセーラーや各代理店が窓口となり販売を進めていく。補給部品は国内に在庫を確保し、スピーディーに提供する。修理やバージョンアップといったアフターサービスについても、バンセーラーらが一次対応を担い、ユーザーに安心して製品を使い続けてもらえる、ワンストップサービスの体制を構築していく。

 また、すでに市場に導入されてるチェボラ社製の溶接機の修理も受け付ける。これまでにチェボラ社製品のサポートを国内で受けるのが難しかった期間があることは把握しており、システムが旧バージョンのままだった機器や、修理できず使用できていなかった製品の対応も受け付ける。メンテナンスや修理に関しては当グループで日本国内に体制を整えているので、マックメカニクスツールズをはじめとする身近な窓口から安心して相談してほしい。

─最後に読者へメッセージを

 自動車業界はEV化をはじめ、大きな変革の時代を迎えている。AIやエレクトロニクスの進化は著しく、鈑金塗装のような業種は、一見すると新技術から最も遠い場所にあるように思われがちだ。しかし、我々は逆だと考えている。これからの時代、AIには代替されにくい「手に職」を持つ人の価値は、ますます高まっていく。

 高い技術力を持つメカニックや職人が、その価値にふさわしい高い報酬を得られる。これは間違いない事実だ。そのために必要な設備投資や信用の蓄積を、我々は全力でサポートしていく。皆さんの時代が、まさにこれから始まると確信している。


昨年のオートサービスショーをはじめ、イタリア本国の技術者が各展示会でデモンストレーションを実施。販売、サポート、そしてトレーニングまで、今後もさらにユーザー向けのきめ細かい展開を進めていく

【チェボラ社製溶接機 メンテナンス受付窓口】


▶プレミアム・カーケア・ジャパン

TEL:045-482-7351


▶マックメカニクスツールズ

TEL:045-507-7838


▶PTS

TEL:045-507-5526

住所:神奈川県横浜市都筑区仲町台1-33-1(3社共通)