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【車業界版・今日は何の日】10月25日は「民間航空記念日」!現場で使える顧客トークネタ

航空宇宙技術の「SPR(セルフピアシングリベット)」と異種金属接合

  • #トピックス

2026/10/25

【車業界版・今日は何の日】10月25日は「民間航空記念日」!現場で使える顧客トークネタ


10月25日は「民間航空記念日」

1951年10月25日、戦後初となる日本の民間航空機「ど星号」が国内定期路線の運行を開始した日である。航空機の機体製造において、軽量化と剛性の確保は永遠のテーマであり、アルミ合金や炭素繊維を接合する特殊な技術が発展してきた。現代の自動車車体整備において、この「航空宇宙由来の接合技術」が鈑金塗装工場に劇的なパラダイムシフトをもたらしている。それが「SPR(セルフピアシングリベット)」によるメカニカルファスニング(機械的接合)である。


溶接が通用しない「マルチマテリアルボディ」の台頭

鉄とアルミを混用する理由

近年の自動車は、燃費向上のための軽量化と衝突安全性の両立を目指し、部位ごとに最適な素材を使い分ける「マルチマテリアルボデー」が主流となっている。キャビン周りには超高張力鋼板(ハイテン材)を、ボンネットやフロントフェンダー、ストラットタワーにはアルミニウム合金を採用するといった構成だ。

「溶接できない」という物理的な壁

ここで最大の障壁となるのが、鉄とアルミという異種金属は従来のスポット溶接やMIG溶接では物理的に接合できないという事実だ。無理に溶接しようとすれば、融点の低いアルミが先に溶け落ちる。また、超高張力鋼板やアルミ合金は、熱を加えると金属組織が変化して強度が著しく低下するという性質も持っている。「溶かして繋ぐ」という従来の溶接の発想が、素材の進化によって根本から通用しなくなっているのだ。


熱を加えない冷間接合「SPR」の仕組み

貫通からカシメまでの接合メカニズム

異種金属を接合するために採用されたのがSPRだ。専用の油圧リベッターを用い、数トンの圧力で特殊なリベットを鉄とアルミの重なり部分に打ち込む。リベットは上側のパネルを貫通し、下側のパネルの中でスカート状に押し広げられてカシメられる。

この工程で熱は一切発生しない。冷間接合であるため、超高張力鋼板の焼きなまし(熱による強度低下)を防ぎながら、アルミとの確実な締結が実現する。

SPR・ブラインドリベットと修理書の指定

最新車両のセンターピラーやロッカーパネルをカット交換する際、メーカーの修理書ではSPRやブラインドリベットによる機械的接合が指定されているケースがある。「修理書に従って接合方法を選ぶ」という原則は、素材の多様化によってさらに重要度を増している。


ガルバニック腐食(電食)を防ぐパネルボンドの役割

鉄とアルミが直接触れると何が起きるか

鉄とアルミが直接触れ合った状態で水分が介在すると、異種金属接触腐食(ガルバニック腐食・電食)が発生し、アルミ側が急激に腐食する。接合強度の問題だけでなく、腐食による構造劣化が後から顕在化するリスクがある。

リベットボンディング工法——面と点の接合力を掛け合わせる

この電食を防ぐため、接合面には航空機用グレードのエポキシ系構造用接着剤(パネルボンド)が隙間なく塗布される。接着剤が絶縁体として機能することで電食を完全に防止しながら、「面」での接着強度と「点」でのリベット強度を組み合わせた「リベットボンディング工法」が成立する。

メーカーの修理書ではこのSPRとパネルボンドの併用が厳格に指定されているケースがあり、いずれか一方だけでは指定工法を満たさない。


まとめ

項目

ポイント

マルチマテリアルボディ

部位ごとに超高張力鋼板とアルミを使い分ける構造

溶接が使えない理由

異種金属の融点差+ハイテン材の熱による強度低下

SPRの接合原理

油圧で打ち込み、下側パネル内でスカート状にカシメる冷間接合

電食の防止

パネルボンドが絶縁体として機能し、ガルバニック腐食を遮断する

リベットボンディング工法

SPR(点)+パネルボンド(面)の組み合わせで溶接を凌駕する剛性を実現

修理書の遵守

接合方法・位置・順序はメーカー修理書に従うことが大前提

現代の車体修理は、火花を散らす溶接から、接着と油圧カシメを駆使する機械的接合へと進化している。素材が変われば、工法が変わる。工法が変われば、修理書の読み方が変わるのである。