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ジャパントラックショー2026 トラックメーカー編

  • #イベント

2026/05/18

 5月14~16日の3日間、パシフィコ横浜で開催されたジャパントラックショー2026。ここでは、トラックメーカーに関する出展内容を紹介する。



いすゞ自動車


 EVトラック「エルフEV」は、ディーゼル車と全く変わらない使い勝手をコンセプトに開発された。働く車として、ドライバーが慣れ親しんだ操作感や車両感覚を維持するため、あえて内装、車幅、高さを従来モデルから変更していない。これは、新しいデザイン性よりも、日々の業務における利便性を最優先した結果である。


 特に運送業務における細かな課題解決に注力している点が特徴だ。EV特有の急な加速による荷崩れを防ぐため、スイッチ一つで緩やかな加速と回生ブレーキを効かせる「エコモード」を搭載。また、1分1秒を争うドライバーのために、キーオンから発進までの時間を他社製品と比較して大幅に短縮した。さらに、シートベルトを外すと自動的にサイドブレーキが作動する機能を備え、意図せぬ車両の動き出しによる事故を未然に防ぐ。


 バッテリーの配置にも工夫が見られる。多くのEVトラックが後輪の間にバッテリーを搭載し車幅が広がるのに対し、LFDVは車体中央に配置することで従来の車幅を維持。これにより、狭い道での走行性を確保し、車検ランクの上昇に伴うコスト増も回避している。数センチの荷台の高さの違いがドライバーの身体的負担に繋がることも考慮し、細部に至るまで「変わらない使い勝手」を追求している。



 

UDトラックス


 大型トラック「クオン」の最新モデルでは、アジア初公開となる自動連結カプラーが披露された。


 通常、トレーラーの連結・切り離し作業では、ドライバーが運転席と車両後部を何度も行き来し、ホース類の着脱やランディングギアの操作、カプラーのロック確認などを行う必要がある。この自動連結システムは、これらの作業を運転席からの操作で完結させることを可能にする。モニターでキングピンの位置を確認しながら後退し、連結が完了するとランディングギアが自動で格納される。切り離しも同様に車内から操作できる。


 このシステムにより、連結・切り離しにかかる作業時間は従来のおよそ半分に短縮される。さらに、プラットフォームへの昇り降りといった身体的負担の大きい作業が不要になるため、ドライバーの安全性向上にも直結する。欧州ではすでに150台のヘッドと300台のトレーラーが稼働しており、日本国内の事業者からも早期導入を望む声が上がっているという。


スズキ


 1月に仕様変更した「スーパーキャリイ」と5月8日に発売された新型「エブリイワゴン」を披露した。今回の出展コンセプトは、これら新型車をいち早く顧客に体験してもらうことにある。特にスーパーキャリイは、フロントマスクのデザインを一新し、安全装備を乗用車レベルにまで拡充。商用車市場における競争力向上への強い意志がうかがえる内容となった。


ZO MOTORS


 “積載も輸送コストも妥協しないスマートEV”をコンセプトに掲げた「ZM5」全長5,535㎜×全幅1,945㎜。街中の細い道幅にも対応し、静粛性と低振動により周辺環境にも配慮。軽量シャシとe-アスクルのコンパクト構造で積載量を最適化。フレームに高張力鋼鈑を採用し強度と軽量化を両立した


日野自動車


 今回の展示で特に注目を集めたのが、大型のプロフィアZ FCVである。この車両は、日本で初めて量産される大型FCVとして、大きな一歩を記すものだ。特筆すべきは、その生産体制にある。茨城県にある古賀工場では、従来のディーゼル大型トラックが流れる生産ライン上で、このFCEVも一緒に製造する「混流生産」がすでに行われているという。


 FCEVの導入において事業者が懸念する実用性についても、課題解決は進んでいる。この大型FCVは、1回の水素充填で約600kmの航続距離を確保しており、これは通常の大型ディーゼルトラックの運用と比べても遜色のないレベルである。


 燃料の充填時間も大幅に短縮された。ノズルが2本あるタイプの水素ステーションを利用すれば、約15分で充填が完了するという。これは軽油の給油時間と大差なく、運行効率を損なわない。もちろん、トラックが利用可能な水素ステーションの数はまだ限られているというインフラ面の課題は存在する。そのため、現在はステーションが整備された地域の事業者から導入が進んでいる段階だ。しかし、インフラの拡充と連携しながら、いつでも増産に応えられる体制を構築している点は、同社の強みと言えるだろう。


フィアットプロフェッショナル


 日本初披露された「スクード」は、スタイリッシュなフロントフェイスが印象的な商用バンである。そのデザインにはピアノブラックのパーツが効果的に用いられるなど、実用性一辺倒ではないイタリア車ならではのテイストが色濃く反映されている。サイズは国産のハイエース(標準ボディ)より一回り大きい程度で、全高は約190cmに抑えられており、駐車場の制約がデュカトに比べて少ないのも特徴だ。


 今回展示された車両は、英国から借用した右ハンドルのマニュアルトランスミッション車だが、日本市場への導入時にはオートマチックトランスミッション仕様が予定されている。エンジンは2.0ℓのディーゼルエンジンを搭載し、最大トルクは340Nmを発生。商用ユースや多人数乗車時にも不足のないパワフルな走りが期待される。足回りやドアの作りも欧州車らしく堅牢で、バンタイプでありながら横揺れの少ない安定した乗り心地を実現しているという。


ボルボ・トラック


 今回展示されたボルボFHの最大の特徴は、従来あったサイドミラーが取り払われ、代わりにカメラと車内のモニターで後方を確認するCMSが採用された点だ。この変更による第一のメリットは、燃費の向上である。ミラーをなくすことで空気抵抗と風切り音が抑制され、約1%の燃費向上が見込めるという。大型トラックの生涯における燃料消費量を考えれば、この1%という数値がもたらす経済的効果は決して小さくない。


 さらに、CMSは天候や時間帯に左右されない安定した視界を提供する。カメラユニットにはヒーターが内蔵されており、水滴が付着しても乾燥させることが可能だ。また、夕日などの逆光でミラーが見えなくなる現象も、カメラの露出を自動調整することで解消される。これにより、ドライバーは常にクリアな視界を確保できる。


三菱ふそうトラック・バス


 開催地の横浜の「港」を意識したコンテナデザインのブースを展開した。今回の出展では、2月に発売された新型「キャンター」の初披露と、数年ぶりに復活した大型トラック「スーパーグレート」のトラクターヘッドという二つの目玉を据え、多くの来場者の注目を集めた。同社は車両展示に留まらず、異業種コラボレーションや子どもたちの整備体験コーナーなど、次世代育成を見据えた体験企画を通じて、トラックの新たな可能性を提示した。