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【車業界版・今日は何の日】9月10日は「カラーテレビの日」!現場で使える顧客トークネタ

塗装の「色ブレ」を防ぐ調色理論と、メタメリズム(条件等色)の壁

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2026/09/10

■ 9月10日は「カラーテレビの日」
 1960年9月10日は、日本で初めてカラーテレビの本放送が開始された日。
 白黒から総天然色への移行は視覚情報に革命をもたらしたが、自動車の鈑金塗装工場において、人間の「色に対する視覚のシビアさ」は、塗装職人を追い詰める要素である。カーオーナーからのクレームでも多いのが、「修理したドアと、隣のフェンダーの色が太陽の下で見ると違って見える(色ブレしている)」という調色(色合わせ)に関するトラブルだ。




カラーコードの罠と、無限に広がる個体差
 自動車のボデーには、メーカーが指定した「カラーコード」が存在する。しかし、塗料メーカーから提供される配合データ通りに原色を0.1グラム単位で正確に混ぜ合わせても、現車の色とピッタリ合うことはない。生産ラインでの製造ロットの違い、塗装ロボットのガン距離、そして納車後の紫外線による退色など、車体の色は一台一台、さらに言えばパネル一枚一枚で異なる「無限の個体差」を持っているからだ。 技術者は、ベースとなる塗料に、数滴の黒や黄色、赤を足しては試し塗り板に吹き付け、現車と見比べる「微調色」の作業を何度も繰り返す。




最大の敵「メタメリズム(条件等色)」現象
 この調色作業において最大の壁となるのが「メタメリズム(条件等色)」という光学現象だ。これは、工場の水銀灯や蛍光灯の下では色が完全に一致して見えたにもかかわらず、屋外に車を出して太陽光(自然光)の下で見たり、夕暮れのオレンジ色の光の下で見たりすると、全く違う色に見えてしまう現象を指す。使用した原色の顔料構成が、メーカーの純正塗料と異なっている場合に発生する、光の波長の反射特性のズレが原因である。


高演色LEDライトと、分光測色計(AI測色)の導入
 このメタメリズムを防ぎ、どんな光源下でも色が合うようにするため、現代の最先端の鈑金塗装工場では、太陽光の波長(演色評価数 Ra98以上)を完全再現する「調色専用LEDライト」を導入している。 さらに、職人の目視に頼るアナログな調色から、複数の角度から塗膜の反射率をスキャンする「マルチアングル分光測色計(測色機)」と「AI(クラウドデータ)」を用いたデジタル調色へのシフトが急速に進んでいる。測色機が現車のメタリック粒子の粗さや色の深みを読み取り、メタメリズムを起こさない最適な顔料の配合レシピを瞬時に算出する。カラーテレビが色を電波で伝送したように、現代の鈑金塗装は、光の波長とデジタルの力で究極の色合わせを実現しているのである。