JOURNAL 最新ニュース
【車業界版・今日は何の日】11月6日は「アパート記念日」!現場で使える顧客トークネタ
マツダ「匠塗」の積層構造と、アルミフレークの三次元的な光学配向
2026/11/06

■ 11月6日は「アパート記念日」
1910年11月6日、東京・上野に日本初の木造アパート「上野倶楽部」が完成したことに由来する「アパート記念日」である。複数のフロアを緻密に積み重ねる建築構造と同様に、自動車のボデーカラーにも、複雑な積層構造で究極の美しさを表現する塗装がある。反射層と透過層を重ねる、高彩度レッドの多層塗装だ。
透過と反射を分業する3層構造
一般的なメタリック塗装との違い
一般的なメタリック塗装は、色のついた塗料の中にアルミの粒子(光輝材)を混ぜ込み、一度に塗る。一方、この多層塗装は、役割を完全に分担した3層構造になっている。
層 | 役割 | 特徴 |
|---|---|---|
下層(反射層) | 光を鏡のように跳ね返す | 極めて薄く平滑な高輝度アルミフレークを敷き詰める |
中間層(透過層) | 発色を担う | 高彩度で半透明の赤い顔料のみを含むカラークリヤー |
最上層(クリヤー層) | 全体を保護する | 無色透明 |
光が2回、赤い層を通り抜ける
光は赤い透過層を通り抜け、アルミの反射層で跳ね返り、再び赤い層を通って目に届く。この光の往復によって、内側から燃え上がるような深みと鮮やかさが生まれる。
反射層は極薄が前提
反射層の厚みは、通常の塗装の半分以下まで薄くされている。極薄にすることで、アルミフレークが水平に並びやすくなる。薄い分、わずかな凹凸や膜厚の差が許されない塗装でもある。
補修の最大の壁はアルミフレークの配向
配向が乱れると何が起きるか
反射層の肝は、アルミフレークの並び方(配向)だ。フレークが塗膜の中で立ち上がると、光が乱反射して色が暗く沈み込み、赤の鮮やかさが失われる。
配向を乱す3つの要因
要因 | 起きること |
|---|---|
エア圧が高すぎる | 塗料が叩きつけられ、フレークが寝ずに立ち上がる |
乾燥速度の不適合 | フレークが寝る前に塗膜が固まり、配向が崩れる |
膜厚のばらつき | 反射層の厚みが不均一になり、色ムラの原因になる |
ドロップコートと乾燥速度の選定
補修では、極めて低いエア圧で塗料をふわりと乗せる「ドロップコート」を使い、アルミフレークをパネルに対して寝かせていく。あわせて、その日の気温に合った乾燥速度のシンナーを選ぶ。ミクロン単位の制御が要求される作業だ。
透過層の膜厚管理が色を決める
下地の明度と膜厚の均一性
高彩度レッドの塗料は、光を透過しやすい顔料を使っており、隠蔽性が低い。グレーの下地ではどれだけ塗り重ねても色が濁るため、白やピンク系のカラーサフェーサーで下地の明度を上げておく。
さらに、上に重ねる赤い透過層は、わずかな膜厚の差でも透け具合が変わり、色が変わる。スプレーガンの運行速度と距離を一定に保ち、膜厚を均一に仕上げる技術が欠かせない。
隣接パネルとのボカシ塗装
高彩度カラーは隣接パネルとの色差が出やすい。修理パネルだけでなく、広範囲のボカシ塗装が必須となる。
テストピースで確認する
本番のパネルに吹く前に、同じ下地条件のテストピースを作り、色味と配向を確認する方法は有効だ。エア圧・ガン距離・乾燥速度を決める手がかりになる。
まとめ
項目 | ポイント |
|---|---|
構造 | 反射層、透過層、クリヤー層の3層構造 |
反射層 | 極薄で、アルミフレークを水平に並べる |
補修の壁 | フレークの配向を崩さずに塗る |
配向を乱す要因 | エア圧、乾燥速度、膜厚のばらつき |
透過層 | わずかな膜厚差でも色が変わる |
高彩度の補修 | カラーサフェーサーで下地の明度を上げ、広範囲にボカシを入れる |
多層構造の塗装は、単なる色の再現ではない。金属粒子の並びと膜厚を支配する、精度の高い職人技である。
あなたにおすすめの記事
-
【第33回日本国際工作機械見本市・JIMTOF2026取材】JIMTOF2026に見る車体整備の未来、最新アイテム&技術を紹介
2026/11/06
-
全国9拠点から36名が出場、タウが「第2回カーテンダーコンテスト」を開催
2026/11/06
-
【厚生労働省が注意喚起】興研製・防毒マスクに不具合、直ちに手元製品の確認と自主回収手配を
2026/11/06
-
【車業界版・今日は何の日】11月6日は「アパート記念日」!現場で使える顧客トークネタ
2026/11/06
-
【約6.5万件】損保ジャパン、顧客情報を委託先が不正アクセスを受け漏えいか
2026/11/05
-
トヨタ自動車が中間決算「予想を覆す増益」発表、電動車比率55.6%・北米1,661億円の黒字転換
2026/11/05