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企業価値を提供し、業界の持続的な発展の貢献を目指す
アクゾノーベルコーティング 大澤勝彦社長インタビュー
2026/04/07
昨年12月、アクゾノーベルコーティングの社長に大澤勝彦氏が就任した。1985年に化学メーカーに入社後、塗料事業部でカラー鋼板用塗料の技術開発に従事した後、塗料研究開発マネージャーや営業部マネージャーを歴任。その後、2016年にアクゾノーベルに入社。インダストリアルコーティングス事業部長、取締役を歴任してきた大澤新社長に就任の抱負や日本と海外の市場の違い、今後の方針などを聞いた。
̶̶就任に当たっての経緯や抱負を
今回、日本から代表取締役として選出されたことを大変光栄に思っている。その中で、私が果たすべき役割は大きく2つあると考えている。就任以来、特に2点に注力してきた。
一つは、アクゾノーベルという会社の知名度を日本市場でさらに高めていくこと。当社はグローバルでは世界有数の塗料メーカーとして確固たる地位を築いているが、日本においてはブランド認知度を継続的に強化していく必要がある。ここ数年間は、コーティング関連の展示会出展などをしてアピールを行っている。
昨年は大阪・関西万博においてオランダパビリオンの公式塗装パートナーとして参画し、「コモングラウンド(共創の礎)-新たな幕開け」をテーマにした循環型デザインの建物に当社の塗料、コーティング製品が採用された。また、6月には「アクゾノーベル・カスタマー・ネットワーキング・イベント」を開催し、ネットワーキングの場を提供したほか、当社の最新サステナビリティーに関するイノベーションを紹介するなど積極的にアピールしてきた。今後はさらにその活動を広げていきたいと考えている。具体的には、我々がオランダの企業であるという強みを活かし、オランダ大使館と連携したイベントの開催などを通じて、顧客に我々の取り組みや製品を知っていただく機会を創出していくプランを考えている。
二つ目は、スタッフが安心して仕事に取り組める環境を整備すること。前社長は海外在住だったため、スタッフが気軽にコミュニケーションを取るのが難しい状況だった。私が日本に常駐することで、スタッフ一人ひとりとの対話を増やし、風通しの良い組織文化の醸成を目指していきたい。そうすることで、スタッフの会社に対するエンゲージメントやモチベーションが高まり、結果として会社の成長につながると信じている。
これら二つの取り組みを推進すると同時に、グローバル企業として我々が最重要視している「サステナビリティー」と「イノベーション」という価値を、日本の皆様にしっかりと浸透させていくことが私の使命であると考えている。
̶̶グローバルの企業として日本の自動車補修市場をどのように見ているのか。海外市場との違いはどのようなものか
自動車補修市場におけるビジネスモデルは、日本と海外で大きく異なる。まず、シッケンズブランドの認知度で言えば、海外、特にヨーロッパでは非常に高い水準を維持している。ここは海外の市場構造の違いが大きく影響している。
ヨーロッパでは、M&Aなどによって大規模なボディショップチェーンに市場が集約される傾向が顕著となっている。我々の製品がそうした工場に採用されることで、大きなマーケットシェアを確保することにつながっている。また、カーメーカーが認定塗料を定めるなど、一定の枠組みの中でビジネスが展開されているのも特徴と言える。
北米市場は、ヨーロッパのような大規模ボデーショップと、日本のような小規模な町工場が混在するハイブリッド型と言えるだろう。
一方、日本の市場は、小規模なボデーショップが数多く存在し、その多くが塗料販売店を介して塗料を購入するという流通構造が根強く残っている。そのため、我々のような塗料メーカーがエンドユーザーであるボデーショップと直接接点を持つ機会は限られてしまっている。
また、日本市場の最も大きな特徴は、非常に保守的(コンサバティブ)であるという点が挙げられる。特定の規制や縛りはないものの、一度導入した製品をなかなか替えないという文化が強く、新しい製品やブランドが浸透しにくいという側面がある。かつては日本でも欧州のような大型化が進むと予測されていたが、現状では欧米ほどの集約は見られていない。
だが、こうした状況も変化の兆しが見られている。日本だけでなく海外においても自動車補修業界全体が抱える深刻な人材不足を背景に、作業の効率化や生産性向上への意識が急速に高まっており、新しい技術や製品を積極的に求める声が大きくなっていると感じている。
̶̶昨年11月に発表されたアクサルタとの合併が業界内で大きな話題となった。現在の進捗状況はどうなっているか
本件については、多くのお問い合わせをいただいているが、現時点でお伝えできる内容は、すでに公表している情報に限られている。当社は、対等な立場での合併(全株式による統合)に関する最終契約を締結したことを正式に発表している。本統合により、世界をリードするパフォーマンスコーティング企業として、お客様および業界に対し、さらなる価値を提供していく。
本合併の完了時期は、2026年末もしくは2027年初頭を目標としている。今後の進捗については、適切なタイミングで案内できるようにしていく。
̶̶今後の製品展開や日本のユーザーに対する取り組み、将来の展望について
現在の自動車補修業界が直面する最大の課題は、人材不足であり、それに伴う作業効率の向上が急務となっている。我々はこの課題を解決するためのソリューションを提供することに全力を注いでいる。
その中核となるのが、近くリリースを予定している水性塗料の新製品「オートウェーブ オプティマ」だろう。この製品の最大の特徴は、圧倒的な作業効率の向上にある。従来の水性塗料は乾燥に時間がかかるという課題があったが、「オプティマ」は1.5コートで塗装が完了できる。高い隠ぺい性と速乾性を両立し、ウエットオンウエット塗装にも対応しているため、作業時間を大幅に短縮することが可能となる。
さらに、塗料製品だけでなく、全自動調合機のような周辺機器も組み合わせることで、工場全体の生産性を向上させるトータルソリューションを提案していきたい。この自動調合機はヨーロッパ市場ですでに多くの導入実績があり、人材不足という共通の課題を抱える日本市場においても、必ずお役に立つものと確信している。
我々の最大の強みは、創業以来こだわり続けてきた「ユーザーに最も近いサポート体制」にある。販売店任せにせず、当社のスタッフが直接ユーザーの元へ足を運び、現場の課題や要望に耳を傾ける。この姿勢こそが、アクゾノーベルの根幹を成すものとなっている。ユーザーの皆様とのダイレクトなコミュニケーションから得られる声を製品開発やサービスに活かし、高品質な製品の提供はもちろんのこと、現場の課題解決に貢献し続けること。それが我々の目指す姿である。
日本の自動車補修業界は今、大きな変革期を迎えている。この変化をチャンスととらえ、革新的な製品と手厚いサポートを通じて、業界の持続的な発展に貢献していきたい。
アクゾノーベルコーティング 代表取締役社長 大澤 勝彦 氏