JOURNAL 

夏場の車内に子どもを残す危険性、乳児死亡事故から改めて考える

1分たりとも子どもを車内に残さないでほしい

  • #コラム

2026/07/18

わずか30分~1時間で奪われる命

 7月15日に起こったという。熊本県熊本市の自宅駐車場に止めた車の中で心肺停止状態で発見されたのは、生後約11ヵ月の男の子である。救急隊が到着した時にはすでに心肺停止の状態で、搬送先の病院で約1時間後に死亡が確認されたと報道されていた。司法解剖の結果、死因は熱中症の疑いとされている。

 帰宅後、駐車場に止めた車の中に男の子を30分から1時間15分ほど残したままにし、車の窓は閉められていた。子どもが車内にいることは認識していたという親は、「はじめはエアコンをつけていたが、途中でエンジンを切った。自宅での家事や仕事を優先してしまった」と話している。同じ時間帯の熊本市の気温は32.0℃であった。


エアコン停止からわずか5分で38℃に

 車内の温度はどれほど急激に上昇するのか。日本自動車連盟(JAF)の公式YouTubeチャンネルで公開されている実験映像を見ると、車内放置の危険性が如実に伝わってくる。

 気温34℃の中、ひなたに止まった車でエアコンが消えた後の温度変化を調べた実験では、エアコン停止からわずか5分で車内の温度は38℃に上昇。そして最終的には、1時間半後に53℃に達している。
 「エアコンをつけていたから大丈夫」という認識がいかに危険であるかが分かる。エンジンを切った瞬間から、車内は急速に灼熱の空間へと変わっていたのである。



「ちょっとだけ」が命取りに、繰り返される悲劇

 JAFが「子どもの車内事故に関するアンケート調査」として行ったアンケートでは、回答者の約55%が子どもを車の中に残して車から離れたことがあると答えている。半数以上の保護者に車内放置の経験があるという結果は、この問題が決して他人事ではないことを示している。

 福岡県内では過去5年間で、子どもが車の中に置き去りにされ死亡した事故が2件起きている。このうち1件は、3年前の8月に北九州市八幡西区の商業施設で、生後10ヵ月の男の子が約2時間半にわたって車の中に置き去りにされた。この時、男の子の両親は互いに「相手が連れているものと思った」と話していた。意図的な放置だけでなく、思い込みやコミュニケーション不足による「うっかり」も、同様に命を奪う結果を招く。


1分たりとも子どもを車内に残さないでほしい

 JAFでは「1分たりとも子どもを車の中に残してはいけないという意識を強く持ってほしい」と呼びかけている。
 気温32℃でも車内は短時間で50℃を超える。エアコンを切れば5分で体温を超える温度に達する。「ちょっとだけ」、「すぐ戻るから」。その判断が、取り返しのつかない結果を招く。夏場の車内に子どもを残す行為は、命に直結する危険行為であることを、すべての保護者が改めて認識すべきである。