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国交省・機構、第5回「OBD検査モニタリング会合」を開催(前編)

OBD検査の不適合率は低下傾向も、準備不足による不適合判定に対し注意喚起

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2025/12/19

 国土交通省(国交省)および自動車技術総合機構(機構)は2025年12月15日、第5回「OBD検査モニタリング会合」をAP東京八重洲(東京都中央区)で開催した。


 事務局は国交省物流・自動車局自動車整備課(整備課)と機構OBD情報・技術センター、構成員は日本自動車工業会(自工会)、日本自動車輸入組合(JAIA)、日本自動車機械器具工業会(自機工)、日本自動車機械工具協会(機工協)、日本自動車整備振興会連合会(日整連)、日本自動車車体整備協同組合連合会(日車協連)、日本自動車連盟(JAF)、軽自動車検査協会(軽検協)、交通安全環境研究所。


 整備課の林健一指導官は冒頭の挨拶で、「皆様のご協力もあって現在は順調に運用されているが、n数が増えるにつれて細々とした課題が見えてきているのもまた事実。改めて皆様から忌憚のないご意見をいただき、今後の安定したOBD検査の運用につなげていきたい」と述べた。

国交省整備課の林健一指導官

 その後、第4回会合で残された宿題事項への対応を報告。


 このうち2026年1月実施予定の特定DTC照会アプリアップデートでは、以下の3点に対応することが報告された。


1.OBD検査結果参照システムで出力される「OBD検査結果のお知らせ」に「OBD検査」か「OBD確認」かを識別できる記載を追加

「OBD検査結果のお知らせ」の誤認防止の対応

2.複数拠点のOBD検査結果実績を一括出力可能に

複数拠点の実績一括出力への対応

3.Capslockの状態で二次元コードリーダを使用した場合に小文字を全て大文字に自動変換

車検証二次元コード読取モード2の対応

 このうち1.については、検査実施者氏名の帳簿記載も要望として挙がっており、日整連の根本正之委員からも「点検整備記録簿には検査員の氏名を記載するようになっているので、こちらに記載しないのは意味がないのでは」と指摘されるも、機構は「検討を進める」と述べるに留め、慎重な姿勢を崩さなかった。


 その後、かねてより進行中の、OBD検査未実施の状態での保適証発行を防ぐため、日整連の「保適証サービス(電子保安基準適合証システム)」とOBD検査システムとを連携させる計画について、機構が想定利用フローを提示。


 この中では、連携用IDの登録が別途必要となるほか、「特定DTC紹介アプリのアップデートエラーが発生した際の特例措置が適用される車両かどうかをシステム側では正しく判断できない」(機構)ことから、保適証発行の最終決定を整備事業者側に委ねる設計になっているため、自工会の木原康秀委員から「保適証発行の前にはワンクッション入れることを検討してほしい」と懸念が示されている。

保適証サービスとOBD検査システムとの連携イメージ

 続いて、2024年10月1日より開始されたOBD検査の運用状況を報告。2025年10月末時点のOBD検査対象型式は1350(2025年7月末時点は1101)、2025年8月末時点の対象台数は登録車393万265台(2025年8月末時点は353万7464台)、軽自動車173万3656台(同152万7268台)の計566万3921台(同506万4732台)。


 2024年10月1日より2025年11月30日までのOBD検査実績は、指定自動車整備工場(指定工場)が45万5213台で、「不適合あり」率は3.6%(2024年10月1日~2025年8月31日は26万5955台・4.3%)。機構は同3万3803台・7.6%(同1万8730台・10.4%)で、軽検協は同4万2151台・2.5%(同2万9455台・2.6%)、全体で同53万1167台・3.7%(同31万4140台・4.5%)となった。

1ヵ月単位のOBD検査台数推移

 指定工場の検査結果より集計された、2025年10月1日~11月30日までの「不適合要因」は、「排出ガス系」のうち「電圧不足」は243件、「警告灯信号」は32件、「レディネスコードなし」は1184件、「通信不成立」は1035件、「特定DTC」は32件。安全系の不適合は2014件だった。


 これらの結果について林指導官は、「指定工場での検査台数が増えている中、徐々に不適合率が下がりつつある」と総評。


 一方、不適合要因のうち、排ガス系の「警告灯信号」と「特定DTC」以外は「準備不足」、安全系は「整備過程で記録された特定DTCが整備後に消去されないまま検出された可能性がある」ことを指摘し、注意を呼びかけた。


 なお、2025年10月1日より開始された輸入車のOBD検査については、「11月30日までの検査台数が268台と極めて少ないため、現時点では分析が難しい。引き続き状況を注視して、ある程度分析できるようになったら、国産車と分けて提示していきたい」という意向を示している。


<後編に続く>

指定工場における主な不適合要因

(文・写真=遠藤正賢 図=国土交通省)