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【車業界版・今日は何の日】11月1日は「計量記念日」!現場で使える顧客トークネタ

0.01グラムが支配する「調色」の光学理論と、電子天秤の限界

  • #トピックス

2026/11/01

【車業界版・今日は何の日】11月1日は「計量記念日」!現場で使える顧客トークネタ


11月1日は「計量記念日」

1993年11月1日、国際的な計量単位の統一を目指す新しい計量法が施行されたことを記念して制定された「計量記念日」である。科学と工業の発展は「正確に量る」という行為の上に成り立っている。自動車の鈑金塗装工場において、この「計量」が最も過酷かつシビアな形で要求されるのが、現車のボデーカラーを再現する「調色(色合わせ)」の工程である。


調色は「重量」で決まる

原色の組み合わせと配合データ

自動車の補修塗料は、基本となる数十種類の原色を組み合わせて作る。塗料メーカーが提供する配合データは、すべて重量(グラム)で指定されている。職人は0.01グラム単位まで計測できる高精度の電子天秤にミキシングカップを載せ、数滴ずつ原色を滴下していく。

微量の原色がL値を左右する

近年の補修塗料には、少量で下地を隠蔽できるよう顔料の粒子を細かくした高濃度タイプがある。こうした原色は、わずかな量でも混入するとL値を大きく下げ、色の明るさを変えてしまう。「ほんの一滴」が、そのまま色ブレにつながる。


計量を狂わせる2つの物理現象

温度による粘度変化

塗料は液温が下がると粘度が上がり、逆に夏場は水のようにサラサラになる。粘度が高いと、容器の縁から原色が塊として落ち、指定重量をコンマ数グラム超えてしまう(オーバーウェイト)。一度入れた原色は取り出せないため、この失敗は取り返しがつかない。

条件

起きること

低温

粘度が上がり、塊で落ちてオーバーウェイトを招く

高温

粘度が下がり、滴下量の加減が難しくなる

計量中も続く溶剤の揮発

計量している間にも、塗料中の溶剤(シンナーや水分)は空気中へ揮発し続ける。天秤の数値は刻一刻とマイナス方向へずれていく。静止しているように見える計量作業も、実際には時間との勝負だ。


計量誤差が致命傷になる色

シルバーメタリックなどの淡色

0.01グラムの計量誤差は、シルバーメタリックなどの淡色では特に致命的な色ブレとして現れる。淡色は、わずかな原色のずれがそのまま見た目の差になりやすい。

調色が補修塗装のボトルネックになった背景

従来、調色は「色が見える」技術者による花形の作業だった。しかし塗色の複雑化と高難度化が進み、調色作業が補修塗装全体の業務効率を妨げるボトルネックになっている。


調色のデジタル化が進む現在地

分光測色計とCCMシステム

この課題に対し、塗料メーカー各社は分光測色計の精度向上を背景に、膨大な配合データと独自のアルゴリズムで調色を省力化するCCMシステムを展開してきた。現在は多くの鈑金塗装工場で普及が進んでいる。

測色計が現車から読み取ったデータをもとに、配合データベースから最も近い配合を選定する。熟練者が調色したデータを蓄積し、担当者間で共有できる点も大きい。調色の経験を個人の勘から、組織の資産に変えられる。

全自動調色機の登場

さらに、CCMシステムの一歩先を行く全自動調色機も、複数の外資系塗料メーカーから日本市場に発表された。海外ではすでに導入実績があり、調色の常識を大きく変える可能性がある。今後の動向に注目したい。


まとめ

項目

ポイント

配合データ

すべて重量(グラム)指定。0.01グラム単位で計量する

高濃度顔料の影響

微量でもL値が変わり、色ブレに直結する

温度と粘度

低温では塊で落ち、オーバーウェイトを起こしやすい

溶剤の揮発

計量中も天秤の数値が減り続ける

誤差が目立つ色

シルバーメタリックなどの淡色

デジタル化

CCMシステムが普及し、全自動調色機も登場した

調色は、職人の指先の感覚と、測色データに基づくシステムの補正を組み合わせる段階に入っている。「正確に量る」という行為の価値は、デジタル化が進んでも変わらない。